物置小屋

１人向け・慰め系

少しでも心に(優しい死神)

こんばんは。突然だけど、君の命はあと1時間で尽きます。
もしやり残したことがあるなら…書き初め？
珍しいね。そういうのが好きなの？
なら、習字セットを用意しないと。

…これでいい？なら、早速始めよう。
他に手伝えることはある？僕も書くの？
別に構わないけど、やったことなんてないよ？
…成程、こうするのか。君は教え方が上手だね。
でも、疲れている。焦っているようにも見える。
君は元々、ここにいた証を残して消えるつもりだったんじゃない？
僕が姿を見せる前から準備していたように見えた。
それに、君の環境は劣悪の一言では表せないほどひどい。
それでも必死にもがいて、あがいて…。どうしてそこまでできるの？
僕には人間の感情がよく分からないから、直球で質問して教えてもらうしかないんだ。
自分と同じ思いをする人を減らすため、か。本当に優しい人なんだね。
それなら、君の苦しみがなくなるように祈るよ。
僕にできるのはそれしかない。
もう休んでいいんだ。ずっと頑張ってきたんだから、自分のことを考えて。
…そろそろ時間だけど、本当にこれでいいの？まだやり残したことがあるなら…分かった。
それじゃあ、行こう。

…誰でもいいから、誰かの記憶に残りますように、か。
願わくば、帰る場所のない彼女のことを誰かが覚えていてくれますように。
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優しい死神の話にしました。