物置小屋

１人向け・慰め系

外見だけでも(双翼の秘密基地)

お姉さん、こんばんは。…今日はいつもより辛そうだね。
僕でよければ話を聞かせてほしいな。
…いつも読んでた小説、取り上げられたの？
そのうえ、そんなぼろぼろにされて…どうしてそんなことができるんだろう。
辛かったでしょ？どんなものでも、誰かにとっては心の支えになっていたものってことになる。
お姉さんにとってその本が大切だったから、誰にも見つからないように毎日持ち歩いていたんでしょ？
僕には直すことはできないけど、別のことならできる。
…お姉さんの話を聞いて、今日持ってきたお湯を使って飲み物を作って…朝までここで過ごす。
僕にできるのはそれだけだけど、お姉さんの大切なものの話を聞かせてほしいな。
すごくぼろぼろになるまで読んでたでしょ？そんなに好きな本だったの？
…そっか。こっそり貯めておいたお金で、初めて買った本…。
お姉さん、ちなみに今って持ち合わせある？
僕がもらおうとしてるんじゃなくて、夜にやってる古書店を知ってるんだ。
完璧に同じものではないけど、大切な本との思い出を残しておくことはできるかもしれない。
ここからそう遠くない場所にあって、あんまり人がいないから…。
よければ一緒に行かない？そう、これから。
大丈夫。夜の間にここまで戻ってこられるから。
新しい思い出を作るのもいいかもしれないし、怪我については何も聞かないでいてくれるよ。
…実は、僕の本もそこで買ったものなんだ。
僕は全然いいよ。時間ならいくらでもあるし…。
決まり。それじゃあ行こう。
お姉さんの想い出、形だけでも残るといいな。
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双翼の秘密基地シリーズにしました。