物置小屋

１人向け・慰め系

ぬくもり感じるひととき(優しい死神)

こんばんは。突然だけど、君の寿命はあと1時間で尽きる。
何かやり残したことがあるなら、今のうちに…そういうのはやめておいた方がいい。
どうしてもというなら止めないけど、君の心を破壊した相手のために破滅の道を選ぶ必要はない。
君に残るのは、相手を傷つけたという虚しさだけだ。
その人たちは君という存在を全否定した。それで心を閉ざした。…いや、閉ざすしかなかったのか。
自分を護るにはそれしかなかった。…違う？
僕はあまり人間について知らないけど…どうせなら、もっと君が欲しかったものを探してみればいい。
…ラムネ？それでいいの？
持ってはいるけど、これが飲みたかったってこと？
他には？…なるほど。そういうことなら僕の手を握って。いいから早く。
目を閉じて。


…もう開けていいよ。驚いた？
だけど、これくらいならできる。
さいごを海で迎えるのが君の望みなら、僕はそれを全力で叶えるだけ。
…どうして泣いているの？やっぱり、終わるのが怖くなった？
たしかに綺麗だね。…憎しみも全て流してくれるほど。
君が謝る必要はない。何も悪いことなんてしていないんだから。
そろそろ時間だ。…もう二度と君を否定しない世界へ続いているはずだから、そのまま道なりに歩いて。
…気をつけてね。

最近僕を怖がる人間が明らかに減ってきている。
…それだけ生きづらい、終わりを望む人間が増えているってことなのかな。
願わくば、彼女の心に消えない灯火を。
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優しい死神の話にしました。