物置小屋

１人向け・慰め系

火花散る(優しい死神)

こんばんは。…突然だけど、君の寿命はあと1時間で尽きます。
もし何かやり残したことがあるなら、今のうちにすませておいて。
…それは君がやりたいことじゃなくて、君がやるよう言われたことでしょ？
家事はしなくていい。君以外の誰かでもできることだから。
君自身がやりたいことは何かないの？
…毎日苦労していたことは知ってる。資料を読んだだけだけど、毎日ひとりで家事をこなして、怒られないように気をつけて生きてきた。
やりたいことはあったはずなのに、自分の時間が持てなかったからもう分からなくなってしまった。…違う？
最後の把握まで僕の勝手な憶測だけど、他は外れている気がしない。
どんな些細なことでもいい。やり残したことがあるならつきあうから言ってみて。
…線香花火？一応持ってるけど、これでいいの？
僕も一緒に？…分かった。
ここに火をつければいいんだっけ。
君はきっと、誰も傷つけないように気をつけてきたんだね。
そして、誰より傷つきやすかった。…今日までお疲れ様でした。
大変な世界を生き抜いて、必死に笑顔を作って頑張ってきた君を否定したりしない。
ずっと耐えてきたんだから、さいごくらい悪い子になってもいいと思うんだ。
…涙を止めようとしないで。ずっと我慢していたものが溢れだしているんだから、止める必要はない。
…君がやりたいことは、これから行く場所で考えればいい。
もう解放されていいんだ。
誰にも遠慮しなくていい。…そろそろ時間だけど、持っていきたいものはない？
ぬいぐるみとか本とか、大切にしていたものを持っていく人が多いけど…。
君にとっては、そのブレスレットが大切なものなんだね。
そろそろ行こう。君の悲しみを癒やしてくれる場所に辿り着けるから。
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優しい死神の話にしました。