物置小屋

１人向け・other

この世界と決別を(若干閲覧注意)

…そこから飛び降りるの？逃げ場、ないもんね。
この世界のどこにも。
分かるよ。僕もそうだったから。
だからここから飛び降りて、全てを終わらせようとしているんでしょ？
だけど…その前に、君が隠してきた心を教えてもらえないかな？
別に止めようとか、そんな聖人じみたことは考えてないよ。
だけど、誰も何も知らないなんて悲しいから…。
君の頑張りを知っておきたいんだ。

成程…。つまり、君は誰かに君自身を見てほしかったんだね。
なのに、あの親の子供だとか、社会不適合者だとか言われて…。そんなに心無いことを言われたら誰だって嫌になるよ。
認められたくて沢山頑張ってきたんだね。だけど、誰もその部分を見ようとしなかった。
君の頑張りが誰かに届いていたらいいなって、僕は思うよ。
沢山勉強して、沢山笑って、沢山傷ついて…沢山本心を隠してきたんだよね、きっと。
だから今の君はぼろぼろなんでしょ？…今までずっとお疲れ様でした。
ここでは本心を口に出していいんだよ。…誰にも話すつもりなんてないから。
というより、話せないしね。…ううん、なんでもない。
それじゃあ、僕はお邪魔だろうからもう行くよ。…君はきっと天国行きの切符を持ってる。
ここまで頑張ってきたんだから、絶対。それじゃあ、またいつか。


…僕が浮いていることにも気づかないくらい絶望してたな。
だけど、あの子は僕みたいにこの場所に縛られない。
沢山頑張ってきたあの子には、僕みたいな憎しみはないから。
…どうか別の世界で、君が笑っていられますように。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
実は彼は地縛霊でした、という結末にしました。
彼女がどうなったかはふたりのみぞ知る、ということにしておきたいです。