物置小屋

１人向け・慰め系

秘密の世界(タイトルそのままです)

どうかした？なんだか元気がないね…。
謝らないで。何か気になることでもあるの？
…そっか。それで帰りたくないって言ってたのか。
無自覚だった？さっき送っていこうとしたら、あの場所は嫌だって言ってたよ。
けど、ここじゃ悪い人に捕まるかもしれないから場所を変えた方がいい。
僕と一緒に来ない？いい場所を知ってるんだ。


…深夜の古書店。店主のおじいさんと知り合いなんだけど、ここなら誰にも見つからずに過ごせると思う。
体が弱い君に無理をさせたくないし、泣き出しそうなのを放っておけないよ。
…家の居心地、すごく悪いんだね。
僕は祖父に育ててもらったから、両親の愛を知らない。
だけど、君が寂しい思いを抱えていることは分かる。
…ここには色々な昔話の本もあるから読んでみて。それで少しは気が紛れるといいんだけど…。飲み物持ってくるね。

おまたせ。…集中してるな。
…ごめん、邪魔しちゃったね。お茶を淹れてきたよ。
楽しんでくれてるみたいでよかった。
ここの鍵、店主からスペアをもらったんだ。
苦しくなったときはいつでも来て。流石に鍵をあげることはできないけど、ちゃんと説明しておくから。
どうして、か…。祖父が亡くなった後、ここの店主に助けてもらったんだ。
誰かの助けが必要な人には、大声で助けを求められる人と誰にも言えない人がいると思ってる。
…僕が誰にも言えなかったこと、おじいさんに見抜かれたんだ。
だから今度は、僕の番。僕みたいに助けてが言えずに苦しんでいる人を助けられる側になりたい。
…勿論、君が大切だからっていうのもあるけどね。
お礼を言うのは僕の方だよ。今日は話せて楽しかった。
家庭環境についてはどうこう言える立場じゃないけど、いつでも来て。
…この場所は君を否定しないから。それじゃあ、また。

…家を抜け出しても気づかないなんて、本当に彼女に興味がない人たちなんだな。
この世界の絶望から僕が護ってみせる。
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家に居づらい恋人の話にしてみました。