物置小屋

１人向け・other

シーグラスは砕け散る(心中)

ここが、君が言ってた思い出の場所？いいところだね。
風が気持ちいいし、夜ってこともあって誰もいない。
こういうの、なんだかいいな。
お礼を言われるようなことなんてしてないよ。
おやつを食べたら、今度は僕が行きたかった場所へ行ってもいい？…ありがとう。
君のクッキー、やっぱり美味しいね。食べられてよかった。
あと、これ。君がくれたシーグラスをネックレスにしてみたんだ。
僕のも作った。ちょっとしたおそろいだよ。
まさかそんなに喜んでもらえるとは思わなかったな…。
それじゃあ、そろそろ行こうか。


…ついた。ここだよ。
僕にとって大切なものは、ここにある沢山の花。
育てるのは大変だけど、綺麗に咲いてくれていて安心した。
…最後の晩餐、食べようか。いただきます。
よかった、笑ってくれた。ずっと難しい顔をしてるから、心配だったんだよ？
謝らないで。最期くらい笑顔でいようよ。
美味しかった…。君にも喜んでもらえてよかった。
どうしてこのあたりに人が来ないか知ってる？…名所だからだよ。
この花を植えはじめた頃は、弔いの気持ちで花園を作ろうと思っていたんだけどね。
だけど、この世界はどうしたって生きづらい。
どんなに息をしても這い上がれなかった。
…君も、今日までずっと頑張ってきたもんね。
もう、いいよね？…僕たちのことを責める人もいるんだろうな。
だけど、僕たちの楽園は僕たちの手で作るしかなかったんだ。
本当にいい？…分かった。何も僕たちを分かつことなんてできない。
一緒に行こう。それで、僕たちだけの世界を作ろう。
もう二度と傷つかないですむ世界。…それはそれで、いいと思わない？
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
こんな終わり方なら悪くないかもしれない…と思うものを綴ってみました。