物置小屋

１人向け・other

『君』に伝える(記憶障害)

ただいま。どうかしたの？
なんでもないって顔じゃないでしょ？
…俺相手にまでいい子でいなくていいって、この前も言ったでしょ？
難しいのは分かるけど、無理して笑ってるの見てたら分かるから。
…そっか。嫌なことがあったんだ。
内容はあんまり話したくない？分かった。それなら聞かない。
もしよかったら、気分転換にこれでも飲まない？
…そう、いつものジュース。飲んだら落ち着くって言ってたのを思い出して買ってきたんだ。
電話して、何がいいか聞けばよかったね…。
俺のは紅茶。新しいフレーバーらしくて、どんな味なのか気になったんだ。
どういたしまして。俺のを買うついでだったんだけど、そんなに喜んでくれるとは思ってなかった。
…ラベル？どうしてはがしたの？
忘れないように、か。…君らしいね。
大丈夫だよ。たとえ君が忘れても、俺がちゃんと覚えてる。
どんなに小さなことでも記憶に残しておくし、未来の君にも沢山話すよ。
だから、忘れちゃってもいいんだよ。
…俺はどんな君も大切にしたいから。
そういえば、今週末はイルミネーションのイベントがあるんだよね？
そのチラシに書いてあるよ。もしよかったら一緒に行かない？
それじゃあ決まり。楽しみだね。
日記に書いておくの？勿論勝手に見たりしないよ。約束はちゃんと護るから。
ただ、俺との想い出が増えていくのは嬉しいなって思っただけ。
…お願い？俺にできることなら叶えるよ。…いいよ。今夜は一緒に手を繋いで寝る。
目を開けたら目の前に君がいるなんて、本当に幸せな瞬間なんだろうな…。
すぐ着替えてくるから、ちょっと待ってて。
…明日の君にも、愛してるって伝えたいな。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
他愛ないことでも抜け落ちていくのを止められない。
そのなかでのぬくもりを綴ってみたかったのですが、上手くできたでしょうか…。