物置小屋

１人向け・other

外の世界へ(絶望した恋人)

…もしもし。ごめん、今忙しかった？今いつもの店に寄ってるんだけど、何か欲しいものある？
どうしたの？なんだか様子が変だけど…。
ちょっと待ってて。すぐ行くから。
念のため電話は繋ぎっぱなしにしておく。


お邪魔します。…もしかして、薬飲みすぎた？
吐き出せそうにはない、よね。というか、俺のこと分かる？
…分からないか。救急外来は…。
苦しいと思うけど、もう少し我慢してね。


あの、彼女の容態は…そう、ですか。
目が覚めるまで、側にいてもいいですか？
ありがとうございます。…ごめん。もっと連絡しておけばよかったね。
最近忙しくて会えてなかったし、あんまり話す時間もなかったから…。
家族のことで追いつめられてるのは知ってたけど、消えたいって願うくらいふくれあがってたなんて…。
一応連絡はしてみたけど、やっぱり出なかったよ。
どうして君はこんなに綺麗な心を持っているのに、あの人たちは心配じゃないのかな。…なんてね。
それにしても、大量の睡眠薬を摂取するなんて…ごめんね。本当にごめん。
…ごめん、起こした？具合はどう？それはよかった。
胃洗浄まではいかなかったから、点滴と検査が終わったら退院できるって。
え、涙？…ほんとだ、いつの間に泣いてたんだろう。
大丈夫だよ。それより、君は自分の心配をして。
こんなときまで俺の心配なんて…本当に大丈夫だよ。
ねえ、それよりもあの家出てみない？
君は俺が護る。君の絶望は簡単に崩せるものじゃないって分かってるけど、それでも一緒にいたいんだ。
君の負担になるなら別だけど…どうして泣いてるの？
重いなんて思わないよ。追いつめられた人にそんな事言わない。
どれだけ時間がかかっても幸せにするから、俺の手をとってくれませんか？
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
彼の覚悟はすさまじいものでした。