物置小屋

１人向け・イベント系

拝啓、夜空の花を見つめながら(手紙)

拝啓

この手紙が君に届くか分からない。
というより、届かない前提で書こうと思います。
あの日、約束の時間に間に合わなくてごめん。
そのせいで君は事故で空に行ってしまいました。
毎年花火を見て、また来年って笑いあって…今はそんな何気ない時間が恋しい。
こんなこと言ったら女々しいかもしれないけど、やっぱり君がいてくれないと寂しいです。
君と見た景色を忘れられません。
目を閉じれば、笑う君を思い出します。
会いに行きたい、なんて言ったら君は怒るのかな？
どうしても忘れられない。
君がいない一生を生きるのは、なんだか虚しい気がするんだ。
花火、今年も一緒に見たかった。


馬鹿だな。届くはずないのにあんなこと書いて…。
あれ、ポストに何か入ってる。封筒？手紙にしては中から音がするし、開けてみるか。
これ、俺があげた指輪…間違いない。
内側にふたりの名前と、付き合いはじめた日が彫られてて…。
なんでこれだけ残していっちゃったんだよ。
一緒にいようって、約束してたのに。
……けど、これで一緒に花火見られるかな。
指輪がこっちにあれば、多分天国からも見えるよな…。
それに、もしかしたらこれはまだ来るなってことなのかもしれない。
…俺に愛をくれてありがとう。
これからもずっと愛してる。
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『託されたもの』の指輪は、視える人によって無事に届けられました。
ひとつ前の台本と視点を変えたうえで時間が繋がる話を書くのは初めてでしたが、少し楽しく感じました。