物置小屋

１人向け・慰め系

気晴らし(姉弟)

ただいま。急に降ってきたな…って、なんでうずくまってるんだよ。
そんなに怖いことがあったのか？…ああ、雷か。
そういえば、雷といえばさっき友だちから聞いた話がある。
聞きたくない？なら、今から聞かせてやるよ。
…昔、恋人をなくして悲しんでいる男がいた。
雨の日に、信号がついてない歩道を渡ってるところで車に轢かれたらしい。
枯れるほど涙を流したはずなのに、それでもずっと止まらなかった。
どれくらいか経ったある大雨の日、近くに雷が落ちた。
あまりの眩しさに目を閉じると、その方向から声がする。
…それは、死んだはずの恋人のものに違いなかった。
相手は傘を持ったまま手を差し出してくる。
男は引き寄せられるように恋人の側に向かったらしい。
その男はやっと迎えに来てくれたって呟いた。
…男を迎えに行く途中で事故が遭ったから。
そのまま男は行方知れずになった。…本当のことかは分からないけど、こういう話は嫌いじゃない。
雷が巡り逢わせてくれるものだって思ったら、案外悪くないと思った。
おまえはどう思った？…まあ、たしかに大切な人を連れていくかっていう疑問は残るかもな。
悲しい話かもしれないが、俺はそれでよかったんじゃないかと思う。
…で？多少は気が紛れたか？
別に礼を言われるほどのことはしてない。ただ、縮こまってるおまえをどうにかしたかっただけ。
じゃあ俺、シャワー浴びてくる。
あ、あとこれ。このボックス、姉貴が好きなやつが入ってるはずだから。じゃ、また後で。
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仲良し姉弟で綴ってみました。