物置小屋

１人向け・看病系

絶ち切りたい鎖(元・執事)

ただいま。遅くなってごめん。…お嬢様、いらっしゃらないのですか？
…見つけた。どうかしたの？似た人？あの人たちに？
取り敢えず何か飲み物でも飲んで落ち着こう。これからほうじ茶を淹れるから、少し待ってて。

…飲めそう？それでは、ゆっくりお召し上がりください。
喜んでもらえたならよかった。ついでにお菓子も持ってくるから…謝らなくていい。
手、力入らないんでしょ？思い出したら苦しくなって、体もどこかしら影響を受けるって言ってたもんね。
無理しないで。ほら、口開けて？…この砂糖菓子、昔から好きでしょ？
食べたら落ち着くって話してたの、ちゃんと覚えてる。
奥様の味にはまだ遠いけど、いつか俺が作ったものでも笑顔にできたら…とは思ってる。
だけど、俺じゃまだまだだから…。
謝らなくていい。申し訳ないなんて思う必要ないんだよ。
俺は君と一緒にいたくているわけだし、あれだけのことをされてそう簡単に忘れるなんて無理だ。
今までだって心に負担がかかっていたわけだし…せめてこれからはもう少し君が生きやすくなるといいね。
俺も？…あんまり考えたことなかった。
執事だった頃の癖かな？あんまり意識したことなかったけど、君の隣にいられることが俺の幸せだよ。
…指、まだしびれてる？心配しなくていい。このまま手を繋いでいるから。
肩に寄りかかって。そのまま寝ても大丈夫。
それから、あの人たちは絶対に俺たちを見つけられないから安心して。
…また思い出して辛くなったらすぐ言ってね。
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いつまで経っても消えてくれないので、ひらすら耐えるしかありません。
だからせめて、ふたりに沢山の幸福が降り注ぎますように…と思っています。