1,602 / 1,797
1人向け・other
さよならセカイ(古書の悪魔)
しおりを挟む
こんばんは。なんだか辛そうだね。何かあった?
…そうか。それで君は、自分を全否定された気分になったんだ。
絶望したまま、作り笑いの日々に疲れたと…だから僕を呼び出したんだね。
古書の悪魔、なんて呼ばれてはいるけど好きに呼んでくれればいい。
僕が君に与えられるのは、安らかな死だけ。君の望みをひとつ叶える代わりに一緒に来てもらう。
それで、願い事は決まっているの?
…たったそれだけ?それだけのために、自分の体を傷つけてまで僕を呼んだの?
君が望んだことなら否定はしないけど…分かった、いいよ。
抱きしめるってこれでいいの?…不思議な子だね。
お金持ちになりたいとか憎い相手に復讐したいとか、そういうことを願われるんだと思ってた。
…君みたいに、抱きしめてほしい、ぬくもりがほしいなんて言う人間はふたり目だよ。
ひとり目について?それを知ってどうするの?…これから死ぬのに。
もう覚悟はできてるんだよね?僕を呼び出した時点で、君が望むことは死のみ。
それじゃあいくよ。……はい、終わり。
この世界から黄身の存在は完全に消えた。
これで君を蔑む奴等も傷つける奴等もいない。
嘘だと思うならそこにある引き出しに触ってみなよ。…触れないでしょ?
僕はただ、人間としての君を終わらせただけ。人間じゃなくなった今の君は…亡霊?
ごめん、僕にもよく分からないや。
取り敢えず、これから君には僕の助手として働いてもらいます。
勿論給料は出すし、衣食住の保障は…どうしてそんなに驚いているの?
たしかに、ここで君の魂を喰らえば僕の疲れは吹き飛ぶ。
だけど、君に興味を持った。人間なんて脆弱で愚かなだけ…そう思っていたのに、心が綺麗な人間が現れたんだ。
醜い世界とさよならして魔界へ来ること。それが願いを叶えた代償だ。
人間の頃にできなかったことをやってみればいい。今の君を縛るのは、僕との契約だけだから。
君が必死に追いかけていたものを否定するつもりもないし、仕事以外は邪魔しない。
ルールは少しずつ教えていくから、君はただ僕の側にいればいい。
…お礼を言われるようなことはしてないよ。そういう気分だっただけだから。
それじゃあ、行こうか。
…亡霊だって睡眠は必要なのか。
苦しみを背負っているはずなのに、周囲への恨みではなく自らの幸福を選んだ。
彼女以外に君みたいな人間がいたことに心底驚いているよ。
…彼女のことも救えればよかったのに。
なにはともあれ、これから楽しくなりそうだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
古書の悪魔との契約の話にしてみました。
新しい居場所を見つけられた少女の話…綴りながら、少し羨ましく感じてしまいました。
…そうか。それで君は、自分を全否定された気分になったんだ。
絶望したまま、作り笑いの日々に疲れたと…だから僕を呼び出したんだね。
古書の悪魔、なんて呼ばれてはいるけど好きに呼んでくれればいい。
僕が君に与えられるのは、安らかな死だけ。君の望みをひとつ叶える代わりに一緒に来てもらう。
それで、願い事は決まっているの?
…たったそれだけ?それだけのために、自分の体を傷つけてまで僕を呼んだの?
君が望んだことなら否定はしないけど…分かった、いいよ。
抱きしめるってこれでいいの?…不思議な子だね。
お金持ちになりたいとか憎い相手に復讐したいとか、そういうことを願われるんだと思ってた。
…君みたいに、抱きしめてほしい、ぬくもりがほしいなんて言う人間はふたり目だよ。
ひとり目について?それを知ってどうするの?…これから死ぬのに。
もう覚悟はできてるんだよね?僕を呼び出した時点で、君が望むことは死のみ。
それじゃあいくよ。……はい、終わり。
この世界から黄身の存在は完全に消えた。
これで君を蔑む奴等も傷つける奴等もいない。
嘘だと思うならそこにある引き出しに触ってみなよ。…触れないでしょ?
僕はただ、人間としての君を終わらせただけ。人間じゃなくなった今の君は…亡霊?
ごめん、僕にもよく分からないや。
取り敢えず、これから君には僕の助手として働いてもらいます。
勿論給料は出すし、衣食住の保障は…どうしてそんなに驚いているの?
たしかに、ここで君の魂を喰らえば僕の疲れは吹き飛ぶ。
だけど、君に興味を持った。人間なんて脆弱で愚かなだけ…そう思っていたのに、心が綺麗な人間が現れたんだ。
醜い世界とさよならして魔界へ来ること。それが願いを叶えた代償だ。
人間の頃にできなかったことをやってみればいい。今の君を縛るのは、僕との契約だけだから。
君が必死に追いかけていたものを否定するつもりもないし、仕事以外は邪魔しない。
ルールは少しずつ教えていくから、君はただ僕の側にいればいい。
…お礼を言われるようなことはしてないよ。そういう気分だっただけだから。
それじゃあ、行こうか。
…亡霊だって睡眠は必要なのか。
苦しみを背負っているはずなのに、周囲への恨みではなく自らの幸福を選んだ。
彼女以外に君みたいな人間がいたことに心底驚いているよ。
…彼女のことも救えればよかったのに。
なにはともあれ、これから楽しくなりそうだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
古書の悪魔との契約の話にしてみました。
新しい居場所を見つけられた少女の話…綴りながら、少し羨ましく感じてしまいました。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お尻たたき収容所レポート
鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。
「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。
ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。
ああ、本気さ!19歳も年が離れている会社の女子社員と浮気する旦那はいつまでもロマンチストで嫌になる…
白崎アイド
大衆娯楽
19歳も年の差のある会社の女子社員と浮気をしている旦那。
娘ほど離れているその浮気相手への本気度を聞いてみると、かなり本気だと言う。
なら、私は消えてさしあげましょう…
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる