物置小屋

１人向け・看病系

赤に祈りを。(祈りシリーズ)

こんにちは。お見舞いに来たよ。…びっくりした？
今日はちょっと早く来ちゃった。
仕事が片づいたから早めに帰っていいって、他の人達も一斉に早く切りあげられたんだ。
…もし君の体調がいいならだけど、一緒に中庭に行ってみない？車椅子は俺が押すから…どうかな？
君と一緒にいられてすごく嬉しい。それじゃあ、早速行こうか。

紅葉が舞ってるね。…まさか君がそこまではしゃぐとは思ってなかった。
嫌じゃないよ。そういうところも可愛いなって思っただけ。
照れてる？顔が紅葉より赤くなってるよ。
ごめん。君と久しぶりに話ができて嬉しくて、舞いあがっちゃった。
謝らないで。君が悪いわけじゃないから。…というより、俺の方こそごめん。
体調が悪くてもすぐ隠すって分かってたのに、君に笑顔で送り出されて全然気づいてなかった。
そのうえ仕事で検査に付き添えなかったし、申し訳ないことだらけだよ。
…どうしたの？走るのは駄目だよ。俺が君のお願いに弱いことを知ってて言ってるでしょ？
あの1番近くの木まで、ゆっくり歩くならいいんじゃないかな。
…明日結果が出たら帰れるんだよね？俺も近くで待ってるから。
一緒に聞かれるの、嫌なんでしょ？それならやっぱり近くで待ってる。…不安？
ちょっとごめんね。…こうやって抱きしめたら、少しでも不安が消えてくれないかって思ったんだ。
肩の力を抜くおまじない、なんて…怒った？
その笑顔は反則だよ。…血液検査と心臓の検査がどんな結果であれ、俺はずっと君の隣にいるから。
髪に紅葉ついてるよ。部屋まで持って帰る？分かった、それじゃあ車椅子に乗って。
冷えてきたしそろそろ病室に戻らないと。…今夜は泊まっていいって許可をもらってるし、ずっと側にいるよ。
俺も会えなくて寂しかった。眠いなら寝ちゃっていいから、今夜は離れていた間の話をしよう。きっと楽しいから。

…寝ちゃったみたいだ。疲れちゃったのかな？
よかった、幸せそうに笑ってる。
…彼女が1番怖いんだ。俺が不安な顔をしたら余計に怖いって感じてしまう。
だけど、もし明日の結果が悪かったら笑っていられる自信がない。
…どうか、彼女が少しでもよくなりますように。
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久しぶりに祈りシリーズを綴ってみました。
うろ覚えで書いたので、もしかすると若干口調が変わっていたりするかもしれません…。