物置小屋

１人向け・慰め系

誘い(某所にて)

…こんばんは。君は独りで寂しくないの？
なんとなくそんな気がしたんだ。僕がそうだからかな？もう夜遅いし、キミは泣いている。
困っているんじゃないかと思ったんだ。
…ここは危ない場所だ。君みたいに苦しい思いを抱えた人が沢山亡くなっている場所だから、死に引き込まれやすい。
嘘じゃないよ。…ほら、あそこにいる人が見える？あれだけ体が朽ちても、一緒にいてくれる人を探しているんだ。
あんまり無責任なことは言いたくないけど、もう少し肩の力を抜いてほしい。
君を傷つける言葉なんて何も聞かなくていいから、ゆっくり休んでほしいんだ。
…それからどうするか考えても遅くないんじゃないかな？
自ら命を絶ってしまった後で後悔しても戻れないけど、絶つ前ならやりたいことを全部終わらせられるかもしれない。
どうするかは君が決めていい。僕には止める権利なんてないんだから。
…そうか。それなら気をつけて帰ってね。もうここで会わないことを切実に願ってる。


…駄目だよ。彼女を巻きこむことは僕が許さない。
今の彼女は前を向こうとしているんだ。それを邪魔していいはずがない。
…君は僕よりずっと寂しい思いを抱えたままだったんだろうね。
また似たような人が現れたら止められるかな。
…いや、それより僕の体が朽ちるのが先かもしれない。腕が少し崩れてる。こんなところから崩れるんだ…。
願わくば、彼女の未来に眩しくて目がくらむほどの輝きがありますように。
僕が決して進めない場所だけど、別の方法で苦しみから解放されてほしいな。
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一歩を踏みとどまらせた彼は、自ら命を絶った人間のうちのひとりでした。
彼女が前を向けるよう、彼は心から願っています。