物置小屋

１人向け・other

案内人(黄泉行列車)

…おはようございます。お目覚めですか？
あなたにはこの場所がどう見えていらっしゃいますか？
いらっしゃるお客様によって全く違う答えが返ってくるのです。
朝日が眩しいと仰る方もいらっしゃれば、月が綺麗だと仰る方も…成程、あなたにはそう見えているのですね。
たしかにこの場所は沢山の星が瞬いております。
申し遅れました。私、この列車の車掌です。
あなたを黄泉の国に送り届けるのが私の仕事でして…あなたに快適にお過ごしいただけるようにせいいっぱいつとめさせていただきます。
どうかなさいましたか？…左様でしたか。
それほど喜んでいただけるとは思っておりませんでした。
そうですね…死者の国はいいことの方が多いかもしれません。
特に、あなたのように心の寿命を迎えられてしまった方の場合は過ごしやすいと感じると思います。
…今日まで生き抜いたあなたを私は否定しません。その権利は私にはありませんから。
お気になさらず、泣きたいだけ泣いてください。
理不尽な世界と戦ったことをもっと誇っていいと私は思います。
その小さいバッグはかなり前からご愛用のものですね？あなたの大切なものが詰まっているもの…どうかこれから先も決して手放さないようお気をつけください。
飲み物をお持ちいたします。…紅茶ですか？かしこまりました。
こちらをどうぞ。…そうですか、このお菓子があなたにとっての思い出の品…お役にたててなによりです。
どうぞ、ごゆっくりお休みください。
あなたは独りで背負って頑張りすぎた。ここでくらい休んでもバチは当たりません。
…少なくとも、俺は君がかなり頑張ってたのを知ってるから。


お疲れ様でした。それでは、この先もよい旅を。
…まさか同級生を送ることになるとはね。…まあ、向こうは気づいてなかったみたいだけど。
こんな場所にいるはずないって思ってたんだろうな。
この車両に乗れるのは自ら命を絶った者だけ。
…どうかこれから先、彼女にとっての楽園が見つかりますように。
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なんとなく綴ってみました。