物置小屋

１人向け・慰め系

星ふる宿(似たもの同士なふたり)

こんばんはお姉さん。いい夜ですね。
何をご覧になっていたんですか？…たしかに今日は星が綺麗に見えますね。
あなたと一緒にいるからかもしれません。
あの…何かあったんですか？辛いこととか苦しいことがあるなら、僕でよければ話を聞きます。
…成程。つまり今夜泊まる場所がないってことですね。
もし嫌じゃなければ僕の家に来ませんか？最近気温差で体調を崩す人もいますし、嫌じゃなければ来てください。
月や星も綺麗に見えますから。


お待たせしました。この部屋を好きに使ってください。
いや、僕はお礼を言われるようなことなんてしてませんから。
…ここには元々、祖父がひとりで住んでいたんです。
僕は時々通う程度で…今思えば、もっとゆっくり話をしておけばよかったなって思っています。
ここに独りで住むようになってから、尚更…。
すみません。こんな話をするつもりじゃなかったんですけど…。
新しい家族、ですか？もしかして、それが原因で疎まれてるんじゃ…それは辛かったですね。
自分ひとりじゃどうしようもないですし、苦しいですよね。
僕にできるのはこうやって一緒に星を眺めたり、話を聞くことくらいですけど…ここでよければいつでもいらしてください。
あなたの寂しさが癒えるまで、この部屋は半永久的にお貸しします。
荷物も好きなだけ持ってきてください。
…誰かにありがとう言われたの、いつぶりだろう。
いえ、なんでもありません。一先ず今夜はゆっくり休んでくださいね。
それでは失礼します。


身近な人に邪険にされる、か。…俺も覚えがあるから、せめてここでは嫌なことを忘れて過ごしてくれるといいな。
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頼り方を忘れてしまったふたりを綴ってみました。