物置小屋

１人向け・イベント系

拝啓、月が見える夜に(手紙・お月見)

拝啓

手紙を書くのは久しぶりで緊張してしまうけど、頑張って思いを綴ろうと思います。
君が転校してから、俺の世界は圧倒的につまらなくなりました。
ふたりで授業を抜け出したり、こっそり屋上で勉強会したり…去年のこの時期は夜学校に忍びこんで、一緒にお月見したよね。
今年もやりたい、なんて言ったら君は困るんだろうな…。
俺は今でも授業を抜け出して、屋上でこっそり植えた花に水をあげています。
咲いてから教えるって約束だったから何を育てているかも分からないけど、蕾がつきはじめたからそろそろ分かるのかな？
できれば君の口から聞きたいけど、楽しく今を生きているなら無理に返事を書かなくて大丈夫です。
俺が伝えたかったのは、君が元気か心配だってことと俺は元気だってこと、花のこと…あとは、お月見のこと。
今年も屋上で見る予定だから、一応書いておこうと思いました。
一方通行になってしまったとしても、また手紙を書きます。


…やっぱり独りじゃ味気ないな。あの手紙が届いたかさえ謎だけど、元気にやってればいいな。
そろそろ帰…いや、今日はこのまま泊まろうかな、寝袋あるし…。
…え、これ、夢？だって君がいるなんて…そっか、手紙を読んでくれたんだね。
そんなに走ってこなくても今夜はずっとここにいるつもりだったのに。…久しぶりだね。元気だった？
今の笑顔を見て安心した。作り笑いだと引きつってたから、今のはきっと違うんだろうなってすぐ分かったよ。
お菓子なら沢山あるし、離れていた時間の話をしよう。
俺はただ、君と一緒に綺麗な月を見て話ができるだけで幸せだから。
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お月見を綴ってみました。