物置小屋

１人向け・other

紙一重(止める彼の話)

お邪魔します…待って、その手を止めて。
全然いらっしゃいって雰囲気じゃない。…包丁を自分に向けて、どうするつもりだったの？
俺がここにいる理由？…君の様子がおかしかったから様子を見に来たんだ。
そしたら今にも死にそうなんだもん。…事前に連絡しなかったことは謝るけど、君に会いに来たことは後悔してない。
その手、止められそうにない？…そこまで追いつめられてることに気づかなくて、本当にごめん。
だけど、震えてるってことはまだ迷ってるってことでしょ？実は今夜来たのはもうひとつ理由があるんだ。
あと少しで本社勤務になることが決まった。…君と一緒にいられるんだ。
どんなことが辛くて、何が君を追いつめたのか分からない。
頑張れとか生きろとか、簡単に言えない。
だけど、君がやってみたいって言ってた同棲生活をもう少しではじめられる。
…生きるのをやめるのは、その後じゃ駄目かな？
きっと俺が知らないところで沢山頑張って、今の君は俺の想像以上にぼろぼろだと思う。
これは俺の身勝手な思いだけど、君の願いを叶えたい。
ほんの少し、待っててもらえないかな？…包丁をおろしてくれてありがとう。抱きしめてもいい？
もう少し落ち着いたら色々な話をしよう。君の心が少しでも晴れるように…。
生きていてくれてありがとう。どんな君も愛してる。
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それは約束で、ある意味呪縛で…そんな感じに綴ってみました。