物置小屋

１人向け・慰め系

雨のひろいもの(タイトルのままです)

あの…大丈夫？これ使って。
雨の日だし、転ぶことくらい誰にでもあるよ。
行くところ、ないの？まあ、部屋は余ってるから使ってもらう分にはいいけど…手当てしたいし。
歩ける？俺の家、ここから近いんだ。一緒に行こう。


そこ座ってて。ご飯食べてないなら用意するけど…はあ？
ああ、ごめん。君の質問に吃驚しただけ。
そんな邪な気持ちで出会ったばかりの人を家にあげたりしないよ。
温かいものを食べたら安心できるかもしれないって思っただけなんだ。
今日は魚を焼くだけのつもりだったし、よければどうぞ。
そうだ、もうお風呂沸いてるはずだから入っておいで。
タオルはこれを使ってくれればいいから。服は…下着は流石に厳しいけど、これでよければ乾くまで使って。
それじゃあ、ごゆっくり。

ドライヤー使って。じゃないと髪が痛むから。
ご飯もできたよ。…どうかした？もしかして、お吸い物が飲めないとか？
…なんでそんなこと聞くの？というより、誰かが泣いているのを見て放っておくことなんてできないよ。
今日たまたま君を見つけて、雨に濡れながら泣いていて…困っているみたいだったから手を貸しただけ。
泣いているのを近くで見たら、そういう人の助けになりたいって思うんだ。
俺は人付き合いが上手いわけでもないし、何かすごいことができるわけでもない。
だけど、迷っている人に手を差し伸べることはできる。
見返りとかそういうのは関係なくて、俺がそうしたいからそうしているんだ。
帰る場所がないってことはワケアリってことでしょ？居場所ができるまではその部屋使って。
いていいんだ。君が嫌になるまでは。
何があったかも知りたいけど…まずは髪を乾かして、それからご飯にしよう。
俺のことは気にしないで、ゆっくりでいいから。
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いい大人がいたっていいじゃないか…ということで綴ってみました。