物置小屋

１人向け・看病系

ふたつの心が癒えるまで(元・執事シリーズです)

あれ、さっきのは夢？それとも…現実だなんて思いたくない。
まだ明かりがついてる。もしかしてまだ起きてるのかな…入りますよ？
…ああ、やはり起きていましたか。
お茶を淹れますのでこちらへどうぞ。
お嬢様、嫌な夢でも見ましたか？
…ごめん。まさかそんなに嫌がられるとは思わなかった。
昔の夢を見て、夢と現実の境が分からなくなっていたんだ。
だけど、お茶を淹れようと思っていたのは本当だよ。
ぼんやりしてたのは謝る。…どうかしたの？
どんな夢、か…あんまりいいものじゃなかったよ。
奥様に初めて会ったときの夢だったんだけど、まさかここまで鮮明に覚えているとは思わなかった。
泥まみれだった俺を迎え入れてくれて、執事としての仕事のおかげで大学にも通えて、弁護士にもなれて…君に会えて本当によかった。
言ったでしょ？君自身が好きなんだ。
今一緒にいられることが奇跡だと思う。
…俺の話？たしかにあんまりしたことがなかったね。
だけど、それはこれからも自分の中に留めておきたい。
俺のせいで君を悲しませたくないんだ。
だけど、もし話す勇気が出たそのときは聞いてくれる？ありがとう。
それより、君は今夜も嫌な夢を見たの？そっか、あの人たちの夢…。それは眠れなくなるよね。
だったら、このまま話を続けよう。
新しい茶葉が手に入ったから、今度はそれを淹れるよ。
お菓子はクッキーしかないからそれになるけど…。
これから君が楽しい気分になれる魔法をかけるよ。俺の一生をかけて。
いつか君の心の傷が少しでも癒えますように。
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ふたり揃って悪夢にうなされる話を綴ってみました。