物置小屋

１人向け・イベント系

あの日のお返し(ホワイトデー・記憶障害の恋人)

おかえり。何か買い忘れでもあった？言ってくれれば一緒に行ったのに…。
そうだ！夕飯の後、少しだけ時間をもらっていい？
そんなすごい話をするわけじゃないから、あんまり身構えないでね。

ごちそうさまでした。君のご飯ってやっぱり美味しいね。
時間がほしいって言ったのは、これを渡したかったからなんだ。
バレンタインにあんな本格的なフォンダンショコラをもらったんだから、もっとすごいものを渡したかったんだけど…もしかして、覚えてない？
謝らないで。君は先月、俺に手作りバレンタインチョコを用意してくれたんだ。
まさかもらえるとは思ってなかったし、君の気持ちが沢山こめられているような気がして嬉しかったんだ。
だから、俺も何かお返しを用意しようと思ったんだけど失敗しちゃって…。
結局市販のモールドチョコの詰め合わせとテディベアにしたんだ。
あんまり好みじゃなかったらごめんね。
まさかそんなに喜んでもらえるなんて思ってなかった。
たしかに君が雑誌で読んでたのは見たけど、それだけだったから…本当に好みかどうかまでは分からなかったんだ。
だけど、気に入ってもらえたなら本当に安心した。
先にお風呂入っておいで。その間に温かい飲み物でも淹れておくから。
先に日記書いてくる？分かった、ここで待ってるね。
…嬉しいって思ってもらえてるのはやっぱり嬉しいけど、その度に日記が必要になるなんて大変だな。
それに、想い出を共有できないのは寂しい気もする。
…なんて、本人には言えないけどね。
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本人には言えない葛藤を抱えながら一緒にいるのは、並大抵の覚悟ではできないと思います。