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1人向け・看病系
一夜、雪猫と。(視える人シリーズです)
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あの、大丈夫ですか?酷い怪我だ…すみません、俺の家まで運びます。
こんなに小さい子どもが、こんな時間に出歩いてるなんて…。とにかくなんとかしないと。
…よかった、目が覚めて。君は街灯の近くで倒れていたんだ。
まだ動かない方がいい。俺はあんまり器用な方じゃないから、包帯を巻くくらいしかできないけど…。
行くところがないなら、ここを好きに使って。そんなに謝らなくても、俺がこうしたかっただけだから。
何か飲み物を…分かった、それじゃあ牛乳を温めて持ってくる。
初めて会ったはずなのに、そんな感じがしないのはなんでだろう。
身寄りがないのか、どこかから逃げてきたのか…。どのみち、病院に行けない事情がありそうだな。
お待たせ。これなら飲めるかな?ごめん、もしかして熱すぎた?
もう少しぬるめにしておけばよかった…。
その腕、誰にやられたんだ?踏まれて、蹴られた?
相当酷い暴力を受けたんだね。
誰にも会いたくないなら、しばらくここにいればいい。
俺、友だちとかいないから誰も来ないだろうし…あがりこんでくる人はいないから。
それに、どのみちその足で歩くのは危ない。…こんな夜中なら尚更だ。
だから、今夜だけでもここで休んでいって。
怖く?…全然。どうしてそんなことを聞くんだ?
…もしかして君は、人間じゃないの?
そっか。ごめん、俺はあんまり区別がつかないんだ。
人間相手ならこんなふうに家に泊めるのはまずいかもしれないと思ったけど、それなら大丈夫だね。
いいよ、そのまま横になって休んでて。
…寝たか。よく見たら猫耳としっぽあるし、本当に人間じゃないんだな。
だけど、踏まれたってことは多分踏んだ相手が人間で…駄目だ、分からなくなってきた。
あれ、この前近所のコンビニにいた猫?なんで俺の家に…もしかして、君がそうなのか?
これ、この前なくしたと思ってたボールペン…もしかして、これを届ける為にここまで?
ありがとう。すごく助かったよ。
たしかに人間たちから君のことを遠ざけはしたけど、結局助けになれなかったから怪我だらけなんだよね?
…ごめん。君がこんな酷い目に遭わないようにしたかったのに、何もできてなかった。
嬉しかったなんて言ってもらえるのはありがたいけど、俺は特別は事は何もしてないよ。
この包帯もそう。俺がやりたいからやっただけなんだ。
最近あのあたりには、酔っぱらい集団がくるようになってる。
夜9時になると集まってるんだ。…もう行かないといけないんだろう?
それならせめて、最後に包帯を換えていい?…これでよし。猫の姿にいるときは俺以外にも見えてるみたいだから、気をつけて。
…初めて会った気がしなかったのはそれが理由か。
まさかあの雪みたいに真っ白な猫が猫又だとは思わなかったな。
それにしても、優しい人だった。…やっぱり俺は、人間とより俺に視える世界の人たちと過ごす方が合ってるみたいだ。
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『彼女』は人間ではなく、真っ白な猫になれる妖ものでした。
このシリーズも難しい点はありますが、嫌いになれません。
こんなに小さい子どもが、こんな時間に出歩いてるなんて…。とにかくなんとかしないと。
…よかった、目が覚めて。君は街灯の近くで倒れていたんだ。
まだ動かない方がいい。俺はあんまり器用な方じゃないから、包帯を巻くくらいしかできないけど…。
行くところがないなら、ここを好きに使って。そんなに謝らなくても、俺がこうしたかっただけだから。
何か飲み物を…分かった、それじゃあ牛乳を温めて持ってくる。
初めて会ったはずなのに、そんな感じがしないのはなんでだろう。
身寄りがないのか、どこかから逃げてきたのか…。どのみち、病院に行けない事情がありそうだな。
お待たせ。これなら飲めるかな?ごめん、もしかして熱すぎた?
もう少しぬるめにしておけばよかった…。
その腕、誰にやられたんだ?踏まれて、蹴られた?
相当酷い暴力を受けたんだね。
誰にも会いたくないなら、しばらくここにいればいい。
俺、友だちとかいないから誰も来ないだろうし…あがりこんでくる人はいないから。
それに、どのみちその足で歩くのは危ない。…こんな夜中なら尚更だ。
だから、今夜だけでもここで休んでいって。
怖く?…全然。どうしてそんなことを聞くんだ?
…もしかして君は、人間じゃないの?
そっか。ごめん、俺はあんまり区別がつかないんだ。
人間相手ならこんなふうに家に泊めるのはまずいかもしれないと思ったけど、それなら大丈夫だね。
いいよ、そのまま横になって休んでて。
…寝たか。よく見たら猫耳としっぽあるし、本当に人間じゃないんだな。
だけど、踏まれたってことは多分踏んだ相手が人間で…駄目だ、分からなくなってきた。
あれ、この前近所のコンビニにいた猫?なんで俺の家に…もしかして、君がそうなのか?
これ、この前なくしたと思ってたボールペン…もしかして、これを届ける為にここまで?
ありがとう。すごく助かったよ。
たしかに人間たちから君のことを遠ざけはしたけど、結局助けになれなかったから怪我だらけなんだよね?
…ごめん。君がこんな酷い目に遭わないようにしたかったのに、何もできてなかった。
嬉しかったなんて言ってもらえるのはありがたいけど、俺は特別は事は何もしてないよ。
この包帯もそう。俺がやりたいからやっただけなんだ。
最近あのあたりには、酔っぱらい集団がくるようになってる。
夜9時になると集まってるんだ。…もう行かないといけないんだろう?
それならせめて、最後に包帯を換えていい?…これでよし。猫の姿にいるときは俺以外にも見えてるみたいだから、気をつけて。
…初めて会った気がしなかったのはそれが理由か。
まさかあの雪みたいに真っ白な猫が猫又だとは思わなかったな。
それにしても、優しい人だった。…やっぱり俺は、人間とより俺に視える世界の人たちと過ごす方が合ってるみたいだ。
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『彼女』は人間ではなく、真っ白な猫になれる妖ものでした。
このシリーズも難しい点はありますが、嫌いになれません。
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