物置小屋

黒蝶

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【閲覧注意】絶景(救われなかった話)

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こんばんは。こんなところで何してるの?
街灯ひとつ灯らないこの場所に、景色を楽しみに来たは無理があるんじゃない?
ここに来る人は面白おかしく怖い映像を撮りたい人か、本気でこの世界を捨てにきた人だけだから見れば分かる。
君は後者でしょ?撮影機材を一切持っていないならそうだろうと思って…。違ったらごめん。
ああ、そっか。やっぱりそうなんだ。
僕も同じ理由できたんだ。ここなら大丈夫かなって。
真っ暗だし、きっと誰にも見つからない。
僕にはもう悲しんでくれる人なんていないし、悲しんでくれる相手に会いたくなったんだ。
君はどうしてここにきたの?…そっか、それは複雑な事情だね。
誰かと比較されて、それがナイフみたいにぐっさり刺さって動けない。
あの子はできた、どうしてあなただけできないの、本当に役立たず…そういうこと、僕も言われてきたから辛さは分かる。
個性を大切になんて、所詮綺麗事なんだって思ってた。
だけど、僕みたいな何もできない奴をただ褒めてくれた人がいたんだ。
その人のおかげで今日まで生きられた。…その相手はもういないんだけどね。
だから僕は、これからその人を探す為にこの世界と決別する。
本気でどうなってもいいと考えているなら、君も一緒に来る?
そうすれば、少なくとも今の痛みからは開放されるよ。その後どうなるかは分からないけど…今が最悪なら、今より悪くなることはないでしょ?
だから僕はここから飛ぼうと思ったんだ。あの人が好きだった海に向かって落ちれば会えるんじゃないかって…馬鹿みたいだと思う?
…ありがとう。最期に否定しないでいてもらえるなんて、今夜は本当に運がよかった。
君も一緒にくるの?本当に?…分かった、それじゃあ手を繋ごう。
そうすればきっと同じところまで堕ちられるはずだよ。
僕は君の話を聞いて、君は優しい人だと思った。
会ったばかりでこんなことを言うのも変だけど、君と離すのは苦痛じゃなかったし、君ほど純粋な心を持っていれば辛くなるだろうなって…。
もう少し時間があればゆっくり話を聞きたかったけど、そろそろ時間だ。
陽が昇る前に終わらせたいから、この真っ暗な時間帯を選んだんだし…怖くない?
それじゃあ、ここから一歩踏み出そう。
…まさかこんな綺麗なものに囲まれるとは思ってなかったから、本当に幸せだ。
さて、この世界とさよならしよう。…いくよ。
一緒にきてくれてありがとう。人のぬくもりを感じられて嬉しかった。
もしどこか別の世界に辿り着いたら、それからもよろしく。
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絶望的な情景の話…綴りながら精神的に響いてしまいました…。
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