物置小屋

１人向け・other

雪の星(視える人シリーズです)

あの…こんばんは。
最近君はずっとここにいるけど、寒くないの？いや、それならいいんだ。
誰か待ってるのか、それとも単純にここから見える景色が好きなのか…それが知りたかっただけだから。
あと、よかったらこれ使って。カーディガンで寒さを凌げるか微妙だけど、ここにいるなら着てないと体が冷えるよ。
それじゃあ、俺はこれで。…どうかしたの？
分かった、君がそれを望んでくれるならまた明日もここに来るよ。
そのときはまた一緒に話をしよう。それまでになんとか話題を考えておく。…また明日、ここで。


すっかり遅くなっちゃったな…こんばんは。
今夜はちょっと仕事が長引いたんだ。流石に途中で抜け出すわけにもいかないし、ちゃんと終わらせてきた。
だから、これから夕飯なんだけど…これなら平気？
真冬にアイスってあんまり合わないのかもしれないけど、俺はこの組み合わせが結構気に入ってるんだ。
君はどう思う？…美味しいって思ってくれたならよかった。
友だち？そうだな…どういうものなんだろう。
俺には、そういう関係の人間はいない。だから、あんまり分からないんだ。
ただ、結構楽しそうにしている人間もいれば気疲れしている人間もいる。
別にいてもいなくても、自分がよければいいんじゃないかな。
…君のことは、大切な友人だと思ってるけどね。
そうだ、よかったらこのマフラーも使って。お礼なんていいよ、今こうやって一緒に話せてるだけで充分楽しいから。…それじゃあ、また。


こんばんは。今日も星を見てたの？
どうして突然もう会えないだなんて言うの？…そっか、もう時間切れか。
君はあくまで俺が作った雪うさぎで、人間じゃないから。
ごめん、途中から気づいてた。はじめは分からなかったけど、いつもこの場所でしか会えなくて、うさ耳がぴょこぴょこ動いてて…多分そうなんだろうなって。
だから温かいものは食べないようにしてた。ただ、寒そうだったから防寒具だけは持っておいてほしいと思ったんだ。
…大丈夫、俺は寂しくないよ。独りには慣れてるんだ。
最後まで友だちでいさせてくれてありがとう。
君が溶けてしまうまでの間だけでも、一緒にいられて楽しかった。
その気持ちに嘘はない。…君はきっと、綺麗な星になるんだろうね。
君は寂しくない？…いい想い出だなんて言ってくれるとは思わなかった。
本当にありがとう。それじゃあ…またね。

…消えちゃったか。いい友人ができたと思ったんだけど、やっぱり寂しい。
ただ、彼女はきっと俺みたいに独りにはならない。その点は安心できる。…今日ってこんなに寒かったっけ。
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視える人で綴ってみました。