物置小屋

１人向け・看病系

灰かぶりの指先に(元・執事シリーズです)

ただいま。今日もお疲れ様。
…お嬢様、何を作っていらっしゃったんですか？
ごめん。話しかけても気づいてないみたいだったから、ついからかいたくなった。
それより、指見せて。…ここは包丁で切ったでしょ？
研ぐのは俺がやるって言ったのに…。意外と危ないけど、俺は慣れてるから平気だよ。
ほら、冷たいと思うけど傷口洗って。それから、食器洗いしてくれてありがとう。
その手の荒れ具合を見ればすぐ分かるよ。
俺がもっと早く帰れればよかったのに…。もしかして、あの家にいたときのことを考えてた？
やっぱり。そうなんじゃないかと思ったんだ。君だってお嬢様だったのに、いつも家事ばかりしていたから…。
だけど今は、こうやってハンドクリームを塗っても誰にも怒られない。
それに、あの人たちは絶対にここには辿り着けないよ。
仕事柄、向こうの動きを察知しやすいんだ。
奥様の専属弁護士をしていたときもそうだったけど、あの人たちが雇ってる探偵の動きが探りやすいんだ。
…尾行だって分かりやすいしね。
ううん、なんでもない。それより、クリーム塗ったらそのまま休んでて。
それから、この傷には絆創膏を貼っておくね。
ごめん、滲みた？大丈夫ならいいけど…。夕飯の準備、残りは俺にやらせて。
君はちょっと頑張り過ぎだよ。たまには俺にもやらせて。
もしかしてこれ、グラタンの作りかけ？よかった、当たってた。
そこで待ってて。君がソースもバッチリ用意してくれてるおかげで、いつもより美味しくできそうだよ。
あれ、もしかして照れてる？…可愛い。

はい、完成。食べられそう？指、痛くない？…今我慢したでしょ？
こんなときくらい強がらなくてもいいから…ほら、口開けて？
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最近、手が荒れることがよくあるので綴ってみました。