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1人向け・other
ずっと、一緒に。(冬の別れ)
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こんばんは。今日もお疲れ様。
最近元気ないけど、どうかしたの?
質問?いいよ、俺が答えられることならちゃんと答える。
好きな食べ物?…林檎。いつか君より上手にうさぎ林檎を作れるようになりたいな。
好きな本は、いつもふたりで読んでるやつ。
一緒に犯人を探しながら読むの、すごく好きなんだ。
どうして急にそんなこと聞いてくるの?…それに、どうしてそんなに泣きそうな顔をしてるの?
心配しなくても、僕は大丈夫だよ。独りでも平気。
本当はもっと君と一緒にいたかったけど、いつかはこうなる運命だったんだ。
仕方ないよ、僕の体はまがいものなんだから。だけど、心はずっと一緒にいる。
君が嫌だって言うまでちゃんと側にいるから、僕のこと忘れないでね。
…ねえ、君は大丈夫なの?僕の声が聞こえるなんて、本当に珍しいんだ。
それもあって、いつも独りでいるんじゃないかと思って…当たり?
君がおかしいわけじゃない。だって君は、僕と話をしてくれたから。
それに、みんな視えている世界も聞こえている世界も全然違うと思うんだ。
それはきっと個性で、君は人よりちょっと沢山のことを視たり聞いたりできるだけ。
僕にとっては本当に嬉しかったんだ。
気づいたらここにいて、本体の顔をいじられたりして…。
だけど、本体が崩れないように何回も直してくれたでしょ?君は誰よりもずっと優しい人だ。
ぐちゃぐちゃになって壊れそうになった雪だるまなんて放っておけばいいのに、君はそうしなかった。
そのことが本当に嬉しかったんだ。
今日まで一緒にいてくれてありがとう。
人は忘れられなかったら、その人の心の中で生きていけるんでしょ?だったらやっぱり、僕は怖くないよ。
たとえもう二度とこんなふうに直接話ができなくても、ずっと一緒にいられるかもしれない。
…ごめん、そろそろ溶けきるみたい。
最期に抱きしめてもいい?僕の体はすごく冷たいんだけど…わっ!?
まさかこんなふうに誰かのぬくもりを感じられる日がくるなんて思わなかった。
本当にありがとう。君からはもらってばかりだね。
だから、今回だけは僕の番。雪の結晶をちょっと色々して作ったネックレスだよ。
女の子はこういうものが好きだって聞いたんだけど、間違ってた?
…そっか、人間って嬉しくても涙が出るんだったね。
拭ってあげたいけど、もう本当に終わりみたい。
叶うなら、もっとふたりで話がしたかった。
この楽しい時間が、ずっと続けばよかったのにね。
…ごめんね。できることなら、君と一緒にこの残酷で美しい世界で、生きてみたかったな…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回は『スノーマン』とは別に雪だるまの物念という形で綴ってみました。
色々なものの言葉が聞こえたら生活するにも周りに馴染むにも苦労するだろうな…ということで、そちらも同時にやってみました。
最近元気ないけど、どうかしたの?
質問?いいよ、俺が答えられることならちゃんと答える。
好きな食べ物?…林檎。いつか君より上手にうさぎ林檎を作れるようになりたいな。
好きな本は、いつもふたりで読んでるやつ。
一緒に犯人を探しながら読むの、すごく好きなんだ。
どうして急にそんなこと聞いてくるの?…それに、どうしてそんなに泣きそうな顔をしてるの?
心配しなくても、僕は大丈夫だよ。独りでも平気。
本当はもっと君と一緒にいたかったけど、いつかはこうなる運命だったんだ。
仕方ないよ、僕の体はまがいものなんだから。だけど、心はずっと一緒にいる。
君が嫌だって言うまでちゃんと側にいるから、僕のこと忘れないでね。
…ねえ、君は大丈夫なの?僕の声が聞こえるなんて、本当に珍しいんだ。
それもあって、いつも独りでいるんじゃないかと思って…当たり?
君がおかしいわけじゃない。だって君は、僕と話をしてくれたから。
それに、みんな視えている世界も聞こえている世界も全然違うと思うんだ。
それはきっと個性で、君は人よりちょっと沢山のことを視たり聞いたりできるだけ。
僕にとっては本当に嬉しかったんだ。
気づいたらここにいて、本体の顔をいじられたりして…。
だけど、本体が崩れないように何回も直してくれたでしょ?君は誰よりもずっと優しい人だ。
ぐちゃぐちゃになって壊れそうになった雪だるまなんて放っておけばいいのに、君はそうしなかった。
そのことが本当に嬉しかったんだ。
今日まで一緒にいてくれてありがとう。
人は忘れられなかったら、その人の心の中で生きていけるんでしょ?だったらやっぱり、僕は怖くないよ。
たとえもう二度とこんなふうに直接話ができなくても、ずっと一緒にいられるかもしれない。
…ごめん、そろそろ溶けきるみたい。
最期に抱きしめてもいい?僕の体はすごく冷たいんだけど…わっ!?
まさかこんなふうに誰かのぬくもりを感じられる日がくるなんて思わなかった。
本当にありがとう。君からはもらってばかりだね。
だから、今回だけは僕の番。雪の結晶をちょっと色々して作ったネックレスだよ。
女の子はこういうものが好きだって聞いたんだけど、間違ってた?
…そっか、人間って嬉しくても涙が出るんだったね。
拭ってあげたいけど、もう本当に終わりみたい。
叶うなら、もっとふたりで話がしたかった。
この楽しい時間が、ずっと続けばよかったのにね。
…ごめんね。できることなら、君と一緒にこの残酷で美しい世界で、生きてみたかったな…。
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今回は『スノーマン』とは別に雪だるまの物念という形で綴ってみました。
色々なものの言葉が聞こえたら生活するにも周りに馴染むにも苦労するだろうな…ということで、そちらも同時にやってみました。
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