物置小屋

１人向け・イベント系

聖夜に冀う(クリスマス・記憶障害の恋人)

ただいま。どうかしたの？ああ、それは去年の写真。
そのアルバムは去年ふたりで作ったもので、また次の冬も作ろうって話したんだよ。
そんなに謝らないで。もう1年経ったんだし、覚えてなくてもこれがあればいつでも見ることはできるでしょ？
…今年の君みたいに、去年の君も笑ってた。そうじゃなかったから、こんなふうに笑顔の君はこの写真に残ってないはずだよ。
今夜はどんなことをして過ごそうか。
それ、もしかしてちっちゃいツリー？可愛いね。ツリーも、それを飾りつけてる君も。
あれ、もしかして照れてる？ごめん、からかったつもりじゃなかったんだ。
ただ、口から自然と本音が漏れ出ていたというか…ううん、なんでもない！
それよりご飯にしよう。下準備はしていったから、あとは揚げるだけだよ。
ふたりとも唐揚げ好きだから用意しようと思って、実は朝からつけこんでおいたんだ。
気づかれないようにしてたけど、まさかそんなに驚かれるとは思ってなかった。
意外だった？ああ、隠すのは簡単だったよ。
周りに調味料を並べたら分からなくなるから、それでいこうと思ったんだ。
味噌とか小麦粉とか…こんな感じにすれば、ケーキも一緒に隠せるなって。
こっちも気づいてなかった？びっくりしてる顔も可愛い。
丁度できたし、食べようか。…いただきます。

どうだった？美味しかっあ？それならよかった。
どうかしたの？日記なら自由に書いてて。俺はその間にちょっと持ってきたいものがあるから、部屋にいるね。
お待た、せ…え、何これ、もしかしてプレゼント？
ありがとう、すごく嬉しい！小さめのメモ帳…こういうのがないか、丁度探してたんだ。
どこで売ってたの？いつもの雑貨屋さん？
分かった、今度一緒に買いに行こう。
実は、俺もちょっとしたものを用意しておいたんだ。…そう、時計。
この前腕時計が壊れたって言ってたから、これなら身に着けられるかなって…喜んでもらえてよかった。
そうだ、ちょっとそこに座ってて。…これでよし。
あと15秒で写真撮れるよ。目を閉じないように気をつけて…よし、多分撮れた。
これをさっきのアルバムの続きに貼って、今日の想い出として残しておこう。
そんなに気にしなくても、俺がちゃんと覚えてるから大丈夫だよ。
…そのブランケット、温かい？買った場所？どこだろう…俺にも分からない。
そうだ、紅茶淹れてこようか？俺が飲みたい気分なんだ。
ちょっとだけ待ってて。


…腕時計、気に入ってくれてよかった。
だけどやっぱり、去年渡したブランケットのことは覚えてなかったな。
どうか、少しでも長く彼女の中に今夜のことが残っていますように。
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記憶障害の恋人とクリスマスという内容にしてみました。
毎年忘れてしまうほど楽しい…私からすれば、それは羨ましいことだったりします。