物置小屋

１人向け・慰め系

スノーマン(ひと冬の話)

こんばんは。君はいつもここで泣いているみたいだけど、何か困りごと？
そっか、もうすぐ友だちが引っ越し…それは寂しいね。
だけど、今ならまだ間に合う。ここにいる時間で、手紙を書いちゃうのはどうかな？
直接寂しいって言えないなら、ずっと友だちでいたいって思っているなら、その想いを全部伝えて。
君ならできるはずだよ。とても勇気がある子だって、僕は知っているから。
相手とどういう関係でいたいのか、相手とどんなことがしたいのか…そういうことを素直に書いてみるといい。
書き方に困っているなら、また明日ここで待ってるからおいで。
今日はもう遅いから帰った方がいい。
…家に誰もいなくても、僕は君が心配だから。それじゃあ、またね。


こんばんは。もしかして、もう書き終わったの!?すごい、君は本当にがんばり屋さんなんだね。
あと、手先が器用だ。…ハンカチの刺繍を見ればすぐ分かったよ。
新しい友だちか…君はどうしたいと思ってるの？君がやりたいようにやってみるのが1版だと思うよ。
作りたくないと思っているなら、無理矢理作ってもきっと辛くなる。
だからといって、ひとりが嫌なのに友だちを作らなかったら君はずっと寂しいままだ。
…君はどうなりたいと思ってる？
急いで答えを出す必要はないと思う。今の君がなりたい方になって、それで苦しい思いをしなかったらそれが正しい道になるよ。
手紙が書けたならちゃんと渡さないとだね。
折角想いをこめたんだから、読んでもらえなかったら勿体ないよ。
どうかしたの？僕と、友だちに…ありがとう。
だけど、それは無理なんだ。
君だからじゃなくて、誰が相手でもできないものはできない。
…僕がここにいるのは、ある人にお礼を言う為だったんだ。
大雨の日、君が必死で護ってくれたおかげで僕の体は崩れなかった。
あの雪の日からずっと、君の優しさを忘れたことなんてない。
どうしても、最後にお礼が言いたかったんだ。
だって僕、明日には体が溶けきるから。…僕のことを護ってくれて、大切にしてくれてありがとう。
体が崩れる前に、今度は僕が君を助けたかった。
力になれて本当によかった。…友だちのこと、どうか大切にしてね。
いつか春になってもその子と仲良しでいられるように…離れていても、これからの君の幸せをずっと祈ってる。
また明日が言えないのは残念だけど、本当にありがとう。
…泣かないで。君が笑ってくれると、僕の心も温かくなるような気がするんだ。
どうか幸せになってね。…それじゃあ、おやすみなさい。
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こうして、スノーマン…雪だるまだった彼は消えてしまいました。
ですが、彼女の心にはずっと残り続けるでしょう。