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1人向け・other
ずっと覚えているよ(選択の物語)
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…目が覚めた?ここは世界の狭…なんて説明しても難しいか。
簡単に言うと、今の君は手術室で死にかけている。
僕が訊きたいのは、君が生きたいと願っているかどうかだ。
もし君が辛いと思っているなら、今すぐ天国まで連れていく。
だけど、まだやりたいことがあるなら天国に行くのはまた今度にしてもいいと思う。
君は今まで治療を頑張ってきた。それはきっと、看護師さんたちも分かっているはずだ。
だけど、君に生きて笑っていてほしいと願っている人たちがいる。
お子様ランチを食べに行きたい…それが君の夢なんでしょ?
僕は基本的に食事を必要としない。だから、それが楽しみだとかそういうのはよく分からないけど…君が叶えたいことなら、もう少し生きてみてもいいんじゃないかな?
今回の手術が終わったら、君はきっと元気になる。そうなれば、もっと沢山のことができるよ。
花かんむりを作ったり、遊園地に行ったり…ハロウィンは仮装パーティーをするんでしょ?
君のことを少しだけ調べたんだ。僕は死神だから。
…そっちの道を戻れば、元の世界に帰れる。
普通の人間ならここでのことを忘れてしまうけど、君は少し特殊なようだね。
もし覚えていたらまた声をかけるよ。
…それまでに、お子様ランチの旗を沢山集めておいて。
僕もちょっと見てみたいから。
こんばんは。久しぶりだね。
もしかして覚えてない?…そっか、それならそれでいいんだ。
最近は元気に過ごしているの?小さい頃、手術が必要なくらい病気が悪化したという話を君の恋人から聞いていたから…馴れ馴れしくしてごめん。
つい、話しかけてしまったんだ。…いや、なんでもない。少し知り合いに似ていたんだ。
君の恋人はもう少しで仕事が終わるから、そこでゆっくり待っているといい。
それから、少し貧血気味ならこれを飲んで。さっき自販機で買ってきたんだ。
少しでも体調がよくなるといいけど…もう平気?それならよかった。
余計なお世話かもしれないけど、薬が効いているうちに帰った方がいい。
向こうから彼も来ている。…夜道には気をつけて。それじゃあ、また。
…馬鹿だな、僕は。話しかけたって分かるはずないのに、つい声をかけてしまった。
この胸にぽっかり穴が開いたような感情を、人間たちは寂しいっていうのかな。
だけど、僕はちゃんと覚えている。…夜間の書店員としても死神としても、関わった人たちのことは全部。
あの子に会ってから、どんどん僕が壊れているような気がする…。
こういうものは、どうすればいいんだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
手術中にやってきた幼子は成長し女性になりました。
…自分と話をした存在についての記憶が、あやふやになったまま。
久しぶりに選択の物語で綴ってみました。
簡単に言うと、今の君は手術室で死にかけている。
僕が訊きたいのは、君が生きたいと願っているかどうかだ。
もし君が辛いと思っているなら、今すぐ天国まで連れていく。
だけど、まだやりたいことがあるなら天国に行くのはまた今度にしてもいいと思う。
君は今まで治療を頑張ってきた。それはきっと、看護師さんたちも分かっているはずだ。
だけど、君に生きて笑っていてほしいと願っている人たちがいる。
お子様ランチを食べに行きたい…それが君の夢なんでしょ?
僕は基本的に食事を必要としない。だから、それが楽しみだとかそういうのはよく分からないけど…君が叶えたいことなら、もう少し生きてみてもいいんじゃないかな?
今回の手術が終わったら、君はきっと元気になる。そうなれば、もっと沢山のことができるよ。
花かんむりを作ったり、遊園地に行ったり…ハロウィンは仮装パーティーをするんでしょ?
君のことを少しだけ調べたんだ。僕は死神だから。
…そっちの道を戻れば、元の世界に帰れる。
普通の人間ならここでのことを忘れてしまうけど、君は少し特殊なようだね。
もし覚えていたらまた声をかけるよ。
…それまでに、お子様ランチの旗を沢山集めておいて。
僕もちょっと見てみたいから。
こんばんは。久しぶりだね。
もしかして覚えてない?…そっか、それならそれでいいんだ。
最近は元気に過ごしているの?小さい頃、手術が必要なくらい病気が悪化したという話を君の恋人から聞いていたから…馴れ馴れしくしてごめん。
つい、話しかけてしまったんだ。…いや、なんでもない。少し知り合いに似ていたんだ。
君の恋人はもう少しで仕事が終わるから、そこでゆっくり待っているといい。
それから、少し貧血気味ならこれを飲んで。さっき自販機で買ってきたんだ。
少しでも体調がよくなるといいけど…もう平気?それならよかった。
余計なお世話かもしれないけど、薬が効いているうちに帰った方がいい。
向こうから彼も来ている。…夜道には気をつけて。それじゃあ、また。
…馬鹿だな、僕は。話しかけたって分かるはずないのに、つい声をかけてしまった。
この胸にぽっかり穴が開いたような感情を、人間たちは寂しいっていうのかな。
だけど、僕はちゃんと覚えている。…夜間の書店員としても死神としても、関わった人たちのことは全部。
あの子に会ってから、どんどん僕が壊れているような気がする…。
こういうものは、どうすればいいんだろう。
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手術中にやってきた幼子は成長し女性になりました。
…自分と話をした存在についての記憶が、あやふやになったまま。
久しぶりに選択の物語で綴ってみました。
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