物置小屋

黒蝶

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1人向け・慰め系

もうひとつの居場所(ふたりだけの世界)

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どうかしたの?辛くなっちゃった?
取り敢えずこっちで一旦休もうか。…大丈夫だから、そんなに謝らないで。
体調が悪くなるのは誰のせいでもないんだし、俺はこうやって休憩をいれながら君と歩けるだけで充分楽しいよ。
…やっぱりちょっと遠出はきつかった?
久しぶりに出掛けたのに、振り回しちゃってごめん。
そんなに泣かないで。まさかこんなに人がいるとは思ってなくて…俺の方こそごめんね。
もう少し人がいない時間帯を狙うべきだったね。…本当にごめん。
これから、もう少しだけ一緒に来てくれる?…流石に君の家まで送るのは無理そうだから、俺の家に泊まっていって。
ここからなら、自転車でちょっと走れば辿り着くから。

…どう?乗り心地、悪くない?ちょっと元気になったみたいでよかった。たしかに風、気持ちいいよね、
どうしても買っていかないといけないものがあるだろうから、近くのドラッグストアに寄るね。
…着替えとか、お菓子とか。ないよりはあった方がいいでしょ?
大丈夫だよ、俺も一緒に入るから。
その、流石に選んだりはできないけど…あ、着いた。
それじゃあ、行ってみようか。


…どうぞ、この部屋じゃちょっと狭いかもしれないけど、好きなように使って。
そっか、話したことなかったね。俺はここに帰ってくることにしてる。
というより、俺にとってはここが帰る場所なんだ。
家は戻る場所ではあるけど、息が苦しくて少ししかいられないんだ。
あの場所で、俺はただの道具にすぎないから。
話しかけても無視だし、いてもいなくても一緒だなって思った。
それで、たまたまこの部屋を持っていた知り合いからかなり安く譲ってもらったんだ。
…もし今の君に寛げる場所がないなら、これをあげる。
嫌なことがあったときとか、今日みたいに人ごみで苦しくなったらいつでも来て。
多分俺も、ここにいない日なんてほとんどないから。
くだらなくなんかないよ。俺も人が多い場所は苦手だし、気持ちは分かる。
…ただ、平気な人にはこの感覚が理解できないんだろうね。
それならせめて放っておいてくれればいいのに。
俺の前では嘘つきな笑顔なんて作らなくていい。泣いたっていいんだよ。
今日もよく頑張りました。
今度は君が好きなものも教えてね。この部屋は君の部屋、帰ってきたいと思えるように好きなようにしてくれていいから。
あ、だけど流石に壁を破壊するとかそういうときは相談してね。
…よかった、やっと笑ってくれた。
今夜は月が綺麗だし、一緒に見ながら過ごそうか。
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天窓から星を眺めて、物語を紡いで、沢山のぬいぐるみや本、CDやフィギュア等、そういう好きなものに囲まれた生活…実は憧れだったりします。
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