物置小屋

１人向け・看病系

あなただけの騎士(元・執事シリーズです)

…ただいま戻りました、お嬢様、少しよろしいでしょうか？
よろしくなさそうですね。そんなにむくれないでください。もし機嫌を直していただけないなら、土下座でもなんでもします。
…今度は笑い出すし、どうしたの？
心配か…あんまりされたことなかったから、そういうのに疎いんだ。
だけど俺は、君のことはいつも心配なんだ。あの人たちに傷つけられて、今でも苦しんで…。
それで、結局どうしてそんなに怒ってるの？…ああ、この怪我のこと？ちょっと転んだだけだよ。
この街にいる限り、あの人たちは俺たちに手出しできない。
なんでって言われるとちょっと答えられないんだけど、とにかく大丈夫だから安心して。
…ちょっと仕事の電話みたいだから、もう少しだけ待っててね。


…こんばんは。素敵な贈り物をありがとうございます。
あんたの今の奥方と今の娘に伝えておいてください。
万が一彼女に傷ひとつでもつけたら、俺は絶対に赦さないって。
今だって訴えられるだけの証拠があるのに、それをせずに我慢しているんです。
俺が仕えていたのは奥様で、あの人たちじゃない。
ついでに言っておくと、今更父親面するあんたの為に黙っているわけでもない。それから、彼女とあんたは家族なんかじゃない。
…俺からは脅迫なんてしませんよ。これでも弁護士ですから。
ただし、これから先彼女にちょっかいを出すつもりなら話は別です。今持っている全ての手段を使って、あんたたちを潰す。
そうしないのは暴力を受けてきた被害者である彼女が望んでいないことと、俺みたいなものを執事として雇って弁護士としても信頼してくれていた亡き奥様の為だ。
次あんな爆発物を送ってきたら、次は刑務所か法廷で会うことになるでしょう。…それでは、失礼します。


どうしたの、その救急箱…包帯、君が換えてくれるの？ありがとう。実は自分で巻くのが意外と難しくて、苦戦してたんだ。
…そっか、やっぱり気づいちゃったか。
実は今日、事務所として借りている部屋に荷物が届いたんだ。
開けた瞬間、びっくり箱から釘やガラス片が飛び散る仕組みになってたみたい。
どうして君が青い顔してるの？大丈夫、君は関係ないよ。詳しいことは話せないんだけど、ちょっと相手と話が合わなかっただけだから。
謝ってくれたし、ことを大きくする必要もないかなって…。
ごめん、昔のことを思い出させちゃった？
大丈夫だよ、さっきも言ったけどあの人たちには絶対に見つからないから。それに、手出しなんてさせない。
飲み物を淹れてくるから、先にリビングで待ってて。

…よかった、彼女にはばれなかったみたいだ。
家の場所をはっきりと特定されたわけでもないみたいだけど、流石に大家さんには話をしておいた方がよさそうだな。
しばらくは事務所を家ということで誤魔化せるだろうし、少ししたら場所を変えないといけなくなるかもしれない。
俺は必ず、今の生活を護り抜く。…彼女を護る為なら、どんなことも惜しくない。
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元・執事シリーズで綴ってみました。
上手くできているといいのですが、かなり心配です。