物置小屋

１人向け・慰め系

今宵、花勝負。(悪夢で眠れない恋人)

ねえ、起きて。…大丈夫？
なんだか魘されてるみたいだったけど、何かあった？
そっか、また悪夢…。俺はあんまりそういう経験がないからよく分からないけど、大変なんだろうなってことは見てて思う。
何か飲み物淹れようか？分かった、それじゃあ温かいお茶を用意するね。

昔の夢って、どんな感じがするの？ごめん、やっぱり分からないことが多いからどうしても知りたくて…。
嫌なこと、か。それは困るね。
楽しいことだったらよかったんだろうけど、そうはいかないから辛いんだよね…。嫌なことを聞いてごめん。
あんまり思い出したくないことなんでしょ？それをずかずか踏み入って無理矢理訊くようなことはしたくない。
君が嫌な思いをして、それを今でも抱えていることは知ってるし、それを思い出してさらに苦しむのを見たくないんだ。
だから、辛かったことが消えちゃうくらい楽しいことでいっぱいにできたらいいなっていつも思ってるよ。
俺じゃ力不足かもしれないけど、もし何かできることがあったらいつでも言ってね。
今はこうやって手を繋いでることくらいしか思いつかないけど、他にも何かあるかな？
どうしたの、突然そんなに顔を赤くして…。頭を撫でるって、こんな感じ？
君の髪、相変わらずさらさらだね。そうやって照れてるところも本当に可愛い。
眠くなってきた？もし無理そうなら、一緒に話でもしていようか。
お互いどんなことをして過ごしたとか、どんなものを食べたかとか…。
ご飯を食べる時間も合わないことが多いし、もっと君のことを知りたいんだ。
だから、君が嫌じゃなければ教えて。俺の話も沢山するから。
そうだな…花札でもやりながら話す？
何から話したらいいか分からないって顔してたから、他のことをしながらなら会話に困らないかなって思ったんだ。
今夜も負けるつもりはないから、それだけは覚悟しててね。
実は俺、明日の午前中は空いてるんだ。だから、今からの勝負で勝った方が朝ご飯を作る。どうかな？
決まりだね。それじゃあ、札を配るよ…。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
自分の方が強いのに、彼は勝った方が朝食づくりをすると言いました。
気遣いというのはなかなかできることではないと思います。
…昔のことというのは、簡単に忘れてしまえることとずっと残り続けるものがあると思うのです。