物置小屋

黒蝶

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ふたりきり、空の下。(教室に行けないふたり)

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ごめんください。...やっぱりいた。
授業受けに行こう、なんて言わないから...一緒に屋上行こう。
僕も授業に行くつもりはないし、日数が足りるようにすれば問題ないんだよね?
教室じゃなくても勉強はできるし、今日は僕と勉強しよう。
屋上の鍵、こっそり手に入れたんだ。
というより、ある先輩から受け継いだ。
先生たちは絶対にこないし、会いたくない相手とは顔をあわせなくてすむ。
だから...君が嫌じゃなければ一緒に行こう。


待ってね、もうちょっとで...よし、開いた。
今日は晴れてるし、下校の放送が流れるまでいたら綺麗な景色が見られるよ。
僕はよくここで星を見るんだ。...警報装置が鳴らないように気をつけないといけないけどね。
前にも言ったけど、僕は全然優等生なんかじゃない。
ここで勉強して、足りなかった出席日数は特別なテストで稼いだりしてる。
教室なんて行きたくなかったら行かなくていいと思うんだ。
無理矢理行っても楽しくないでしょ?
それに、僕は君とふたりでいられた方が何倍も楽しい。
...折角だし、一緒に勉強でもしようか。

やっぱり君の方がすごいね。そのノートが沢山頑張ってる証拠でしょ?
教室だけが全部じゃない。
その小さな世界に心が押し潰されてしまうくらいなら、多少自由にやることだけは適度にこなしておくぐらいが丁度いいと思うんだ。
僕が教室に行かない理由?...何だと思う?
君が行かなくなる前からしょっちゅうさぼってたし、いつもここに隠れてたんだ。
こういうのんびりした時間、好きだな...。
君はどう?気晴らしにはなった?それならよかった。
流石に堂々と外をうろつく勇気はないけど、ここなら一応学校には来てるから罪悪感が減るんじゃないかと思ったんだ。
はい、頑張ったご褒美。この飴、いつも食べてるでしょ?
もうすぐ下校時間だね。帰る?それとも、ここで一緒に少し悪いことをしていく?
了解。今夜は晴れるはずだから、そうなればきっと沢山星が見られるよ。

...そういえば、お昼から何も食べてなかった。
お弁当、持ってきておいてよかったよ。よかったら一緒に食べよう。
僕はこういうのを作るのが好きなんだ。
それで君が笑ってくれたら、それ以上に嬉しいことなんてない。
美味しい?よかった。あ、あれが今の季節に見られる星座だよ。
望遠鏡の用意するから、それ食べながら待ってて。...はい、できた。
こういう天体観測も、たまになら悪くないでしょ?
独りで見るものよりずっと綺麗だ。
ピント合わせたから覗いてみて。...本当に綺麗だよね。
どうだった?今日1日楽しめた?
そっか...それならまた、この場所で一緒に勉強したりご飯食べたりしよう。
僕は大抵いつもここにいるから、もし君がここに来る気になれたらいつでも連絡して。
絶対に迎えに行くから。...約束だよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
締めくくりが微妙になりましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?
事情があって教室に行けないふたりを綴ってみました。
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