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1人向け・イベント系
月が消える前に(十五夜・記憶障害の恋人)
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ただいま。どうしたの、そんなに驚いた顔をして...ああ、今日は早く帰れたんだよ。
朝話したと思ったんだけど...ごめん、俺の勘違いかもしれない。
君が謝る必要なんてないよ。そんなに気にしないで。
ご飯、まだ作ってる途中でしょ?俺も一緒にやる。
ふたりで過ごす時間を大切にしたいから。
すぐ終わらせてくるからちょっとだけ待っててね。
お待たせ...って、もうできあがってる!?
本当にごめん。しかもシャツを汚しちゃったし...。
今日、花屋さんに寄ったんだ。だから、それを花瓶にさしていたら土がついちゃって...。
もっとかっこよく渡したかったな。
まさかそんなに笑われるとは思わなかった。だけど、やっと笑顔が見られてほっとした。
そういえば、今夜は十五夜だね。
月見団子、作ってみたんだ。たしか冷蔵庫の下の段で冷やして...あった。
もしよかったら、これも一緒に食べよう。きっと楽しいよ。
折角天気もいいんだし、ベランダにテーブルを置いたからそこで食べようか。
...これで全部?今日も沢山おかずを作ってくれたんだね。ありがとう。
そんなに謝らなくても、俺は運ぶ時間だって楽しかったよ。
ああ、日記帳?さっき台所で持ってたよね?...ほら、やっぱり。
今夜は月が綺麗だね。その事を書くの?
怒ったりなんかしないよ。それが君にとって、明日への道しるべになるのは知ってるから。
それに...いつも言ってるけど、忘れてしまったとしてもそれがなかったことになる訳じゃない。
この時間のことは俺がちゃんと覚えてるから、そんなに不安がらないで。
...ランプ、一応つけておくね。
たしかに月明かりだけでも充分楽しめそうだけど、こっちもあった方がいいかなって...。
書けた?それじゃあ、先にご飯からいただきます。
この豚カツ、すごく美味しい!俺が作ると衣がさくさくにならないから...やっぱり君はすごいね。
月よりも輝いているし、なにより笑顔がきらきらしてる。
あれ?もしかして照れてる?...可愛い。
団子、食べてみてくれるの?ありがとう。
どうかな?変な味しない?よかった...。
君が喜んでくれるなら、いつだって作るよ。
美味しそうに食べてもらえると、本当に嬉しいから。
もしかして、この月見団子についても書いておくの?...そっか。
ちょっとだけ複雑だけど、忘れちゃいそうなほど美味しくできたならよかった。
あいたお皿、下げてくるね。ついでに飲み物も持ってくる。
...記憶が消えるの、また速くなったのかな。
どうか、月明かりが消えてしまうまでは...彼女が、楽しんでくれますように。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
恐らく久しぶりに綴ってみました。
今年は珍しく10月1日が十五夜みたいです。
朝話したと思ったんだけど...ごめん、俺の勘違いかもしれない。
君が謝る必要なんてないよ。そんなに気にしないで。
ご飯、まだ作ってる途中でしょ?俺も一緒にやる。
ふたりで過ごす時間を大切にしたいから。
すぐ終わらせてくるからちょっとだけ待っててね。
お待たせ...って、もうできあがってる!?
本当にごめん。しかもシャツを汚しちゃったし...。
今日、花屋さんに寄ったんだ。だから、それを花瓶にさしていたら土がついちゃって...。
もっとかっこよく渡したかったな。
まさかそんなに笑われるとは思わなかった。だけど、やっと笑顔が見られてほっとした。
そういえば、今夜は十五夜だね。
月見団子、作ってみたんだ。たしか冷蔵庫の下の段で冷やして...あった。
もしよかったら、これも一緒に食べよう。きっと楽しいよ。
折角天気もいいんだし、ベランダにテーブルを置いたからそこで食べようか。
...これで全部?今日も沢山おかずを作ってくれたんだね。ありがとう。
そんなに謝らなくても、俺は運ぶ時間だって楽しかったよ。
ああ、日記帳?さっき台所で持ってたよね?...ほら、やっぱり。
今夜は月が綺麗だね。その事を書くの?
怒ったりなんかしないよ。それが君にとって、明日への道しるべになるのは知ってるから。
それに...いつも言ってるけど、忘れてしまったとしてもそれがなかったことになる訳じゃない。
この時間のことは俺がちゃんと覚えてるから、そんなに不安がらないで。
...ランプ、一応つけておくね。
たしかに月明かりだけでも充分楽しめそうだけど、こっちもあった方がいいかなって...。
書けた?それじゃあ、先にご飯からいただきます。
この豚カツ、すごく美味しい!俺が作ると衣がさくさくにならないから...やっぱり君はすごいね。
月よりも輝いているし、なにより笑顔がきらきらしてる。
あれ?もしかして照れてる?...可愛い。
団子、食べてみてくれるの?ありがとう。
どうかな?変な味しない?よかった...。
君が喜んでくれるなら、いつだって作るよ。
美味しそうに食べてもらえると、本当に嬉しいから。
もしかして、この月見団子についても書いておくの?...そっか。
ちょっとだけ複雑だけど、忘れちゃいそうなほど美味しくできたならよかった。
あいたお皿、下げてくるね。ついでに飲み物も持ってくる。
...記憶が消えるの、また速くなったのかな。
どうか、月明かりが消えてしまうまでは...彼女が、楽しんでくれますように。
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恐らく久しぶりに綴ってみました。
今年は珍しく10月1日が十五夜みたいです。
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