物置小屋

黒蝶

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1人向け・看病系

苦味ほろほろ(元・執事シリーズです)

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ただいま...。まだ電気ついてるから起きてると思ったんだけど、気のせいだったのかな。
あ、いた。
...お嬢様、こんなところにいらっしゃっては...って、飲み過ぎ。
水だと思ったんでしょ?ごめん、それは夕飯を作るときにどこに置いたか分からなくなってたやつだ。
俺だってミスはする。...お屋敷ではいつも気をはってたからこういうことはなかったけど、君の前では素でいられるから。
それより大丈夫?水持ってくるからちょっと待ってて。
どうしたの、いきなり抱きついてきて...。
...お酒がはいると随分素直なんだね。いや、こっちの話。
そんなに寂しかったの?いつもならプランターの水やりしてたってよく分からないことを言って誤魔化すのに、本当はそんなふうに思ってたんだ。
待って、先に手当てした方がよさそうだね。
この傷なら、多分絆創膏をはっておけば治るはずだし...はい、できた。
酔って転んだでしょ?気をつけないと本当に危ないよ...。
分かった、離れないから取り敢えずソファーで休んで。
突然だけど、質問です。...ふたりであの屋敷から逃げるように出てきたこと、後悔してる?
俺は弁護士として、結局出掛けることが多い。
いくらリモートが多いとはいえ、色々な場所に出向くこともあるし...本当は、沢山寂しい思いをさせてるんじゃないかって思ったんだ。
君の気持ちが知りたい。
そっか、そうだよね。...ちょっと安心した。
もしここで全然寂しくないなんて言われたら、それもそれだなって思ってたから。
だけど、本当にごめん。もっと早く帰ってこられるように善処する。
今夜会ってきた依頼人、ちょっとだけ君に似てたんだ。
詳しいことは言えないけど、事情を抱えて辛そうにしてた。
そうだ、傷痕に薬を塗らないと...お願い、ちょっとだけ待ってて。
ついでに水も持ってくるから...ね?

...これでよし。やっぱりこの左肩の傷は残るかもしれないね。
急だね。どれだけ傷だらけだろうが、君が君であることに変わりないでしょ?
だから俺は、絶対に見捨てるようなことはしない。
君に嫌われるその日まで、ふたりでの生活を護りぬいてみせる。
...なんて、酔っていない君相手には言えないことだけどね。
素直になれないのはお互い様か...ほら、水飲んで。
明日は二日酔い状態になりそうだね。後でしじみの味噌汁を作っておく。
だから君は、ちゃんと寝て休んで。
...心配なんだ。離れている間もずっと頭の片隅では君のことを考えてる。
俺、今の生活がすごく幸せなんだ。だから...あれ、もう寝てる。
流石に運んだ方がいい、よね。さっきの続きは明日伝えるよ。
...愛してるって。ふたりでいることが幸せなんだって。
俺は君に酔ったみたいだ。
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元・執事シリーズ、久しぶりに綴ったような気がします。
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