物置小屋

１人向け・慰め系

硝子の花(箱庭シリーズです)

こんばんは。最近結構会える時間が長くなったような気がするんだけど、もしかして早く来るようにしてる？
無理してないならいいけど...夕飯はちゃんと食べてきた？
...その包み、今日も作ってきてくれたんでしょう？
いつも俺にお弁当を持ってきてくれるのは嬉しいけど、君がご飯を食べないと意味ないんだよ。
半分こしよう。食事はちゃんと摂らないと、体調崩しちゃうよ？
何かあったなら、話は...ご飯を食べながら聞こうか。

...それで、どんなことがあったの？
小さいことって、どういう意味...？
まだそんな心ないことを言ってくる人がいるんだ...辛いね。
傷つきやすいかどうかは人それぞれなはずなのに、どうして弱いからだなんて言ってくるんだろう...。
例えば、相手が何気なく放った一言でもぐっさり刺さる人といくら言われても平気な人がいるはずでしょ？
俺はあんまり人間関係って築けないから分からないけど、君はすごく優しい人だと思う。
初めて会ったときから、独りで抱えて悩んでた。
辛いことも苦しいことも全部真正面から受け止めて、ずっと頑張り続けてる。
...ねえ、抱きしめてもいい？
さっきから泣きそうな顔をしているから、俺にできることをやりたいんだ。
君は本当に優しいんだね。
眠れなくなったり、過呼吸でふらふらになるくらいぼろぼろなのに、それでも相手を傷つけまいとしている。
それをずっとできる人なんてなかなかいないと思う。
硝子って繊細で、衝撃をくわえたら壊れちゃうでしょ？
だけど、硝子細工には美しさがあるよね？
上手く言えないけど...多分、傷つきやすい人の心ってそんな感じなんだと思う。
心を蝕まれてしまうということはそれだけ心が綺麗だってことだと思うんだ。
だから、俺は繊細なのが悪いことだけじゃないって思いたい。
少なくとも、君の心で感じたこと全部が悪いとは思わないよ。
...そのおかげで俺はここにいるんだから。
ううん、なんでもない。もう大丈夫？
眠くなったなら、そのまま休んで。朝までは側にいられるから...。

...君は本当に、触るとすぐに散ってしまう花みたいだ。
花は枯れてもまた芽吹く。だけど、人の心はどうなんだろう。
ごめん。また本当のことを言えなかった。
君は今日も大量の薬を飲んで、無理矢理眠ってる。
そうしないとここにこられないって思ってるのかな...。それとも偶然？
やっぱりどうするべきなのか、まだ分からないよ...。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
箱庭シリーズ、最近割りと綴っているような気がします。
彼は今回も言えませんでした。
大切な人の心の平穏を代償に現実を突きつけられるのか...私が彼の立場でも、きっと言わないと思います。