物置小屋

１人向け・イベント系

拝啓、僕の織姫様(七夕・手紙)

手紙にしようと思うと、いつも何を書いたらいいのか分からなくなる。
ただ、俺は今元気にしています。
ちょっと嫌なことがあったりもするけど、仕事がない訳じゃない...あなたが褒めてくれた修理の技術を使って、なんとか色々なものの技師として生きています。
あなたがいるところはどんな場所ですか？
温かい場所ですか？それとも冷たい場所？
...あなたに会いたいと思わない日はありません。
俺はきっと、これから先もずっとあなたしか見えないのでしょう。
あなたが幸せでいてくれればそれでいいと、心から願っています。
...そういえば、もうすぐ七夕です。
あなたはあの日のことを覚えていますか？
大雨が降るなか、ふたりで願い事を書いた短冊を大きな笹につるしましたね。
あのとき、何て書いたのかな...。
因みに俺は、あなたと一緒に幸せに暮らしたいと書きました。
恥ずかしいし、一生胸に仕舞っておくつもりだったけど...今ならもう時効だと思うから正直に綴っておきます。
俺はあの頃から、ずっとあなたのことが好きでした。
もう届かないかもしれない。
それでもいいからただ書きたかった。
もしかすると、あなたに届く日がくるかもしれない。
あのときみたいに大きな笹につるしておけば、願いを叶えてくれるかもしれない。
今の願いはただひとつ。...あなたに会いたい。
ただ会って、話がしたい。
一緒の家に帰って、ご飯を食べて、おやすみって言い合って...。
そんなの叶わないのは分かってる。
でも、願うことくらいは赦されますか？
修理をするとき、歯車を見ながら思い出します。
笹を見る度、こんなこともあったと考えます。
あの日あなたの電話に出られなかった俺を許せない。
あなたを独りにして、この世界からいなくなってしまうのを止められなかったことを許せない。
...本当はすごく寂しいよ。
話が逸れてしまいましたが、願わくば空までこの手紙が届いてくれますように。
なんだか長くなってしまいましたが、あなたが今幸せで過ごしていてくれることを心から願っています。
...手紙ってやっぱり難しいね。
余計なことを書いてしまいそうになるし、感情がぐちゃぐちゃになって書きづらい...。
他の人からすればただの紙切れでも、あなたのところにちゃんと届くといいな。
ついでに短冊も入れておきます。
...今のあなたの願いが叶うように、俺からも短冊に書いてお願いしておきますね。
お願いばっかりしちゃったけど、大丈夫かな...なんて、今更考えています。
これから先も、君だけを愛してる。
だから...俺がそっちにいくまで、俺のことを忘れないでね。
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綴っていた相手がもうこの世界にいない場合、どうすれば手紙が届く可能性があるのか...それを考えながら綴りました。