物置小屋

１人向け・看病系

その心は紫陽花模様(裏稼業side-A)

ちょっと入るよ。
...どうかしたの？最近いつにも増してちゃんと睡眠をとってないみたいだけど、何か考え事？
別に笑ったりなんかしない。困らせるからとか、そんなことも考えなくていい。
そもそも、悩まない人間なんてこの世界にいないんじゃないかな？
...雨の日は苦手？もしかして、いつもより酷い悪夢を見てる？
なんとなくそうなんじゃないかと思っただけ。あとは...俺も経験があるから、かな。
雨の日は音が全部消してくれそうで寧ろくつろげるけど、蒸し暑い晴れた日には絶対昔の夢を見るんだ。
だから、魘されて眠れなくなる気持ちは理解できる。
上手く言えないけど、深く考えない方がいい。
今の君はその人たちから遠い場所にいて、絶対に傷つけられるようなことにはならないから。
何かあったとしても俺が護る。
...眠れないようなら何か飲む？ホットミルクが落ち着くと思うけど...流石に熱いのは無理そう？
分かった、それじゃあ淹れるからここで待ってて。
リビングには仕事で使う資料が散らばっているから、それを片づける時間をもらうね。

...こんなもの、あの子には見せられない。
だからといって時間をかけすぎると不安を助長させてしまう...。
仕上げはまた後にするしかないか。
眠れないなんて、なんだか懐かしいことを思い出した。
今だって眠れてないけど、彼女は一体いつから不眠に悩まされてるんだろう？
...よし、できた。
お待たせ。ちょっと散らかってるのは気にしないで。
いつも掃除してもらっているのに汚してごめん。
朝までには片づけておくから、今はとにかく休んだ方がいい。
どうかしたの？...ああ、あれは紫陽花っていうんだ。
色とりどりで目移りしそうになるのは分かるような気がする。
...俺も初めて見たときそうだったから。
ある人に教えてもらうまで、花なんてただ眺めるだけだった。
どれも同じに見えて、あんまり観察したことなんてなかったんだ。
でも、その人は花が好きでよく教えてくれた。
...どうしたの、そんな不思議そうな顔をして？
そういえば、自分の話をするのって苦手だからあんまり話したことがなかったね。
誰相手にも同じだけど、どこまで話していいのか分からなくなるんだ。
...あの人のことを思い出してしまうし、できれば話さずにいたい。
いや、なんでもない。ただ、俺のことを知ったところでそんなに面白いことはないはずだけど...嬉しいなんて言われたのは初めてだ。
そんなに知りたい？
それならいつか話すよ。...今は紫陽花を楽しもう。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
微妙な感じになってしまいましたが綴ってみました。
心の動きが紫陽花のようだなと思いましたが、大丈夫でしょうか...。