物置小屋

１人向け・慰め系

たった一夜の魔法(裏稼業・洋服屋の彼)

あれ、まだ寝てなかったんですか？
俺はいつもこの時間まで起きているので平気ですが、あなたは寝た方がいいですよ。
...縫い物、ですか？もしかして、今日のことを気にして...やはりそうでしたか。
あなたが考えていることなら大体分かりますよ。
なんとなく知り合いに似ているから、でしょうか。
俺の昔からの知り合いもそんな顔をするんです。
...自分が失敗したせいで相手に迷惑をかけてしまったのではないか、自分が何をやっても駄目なのではないか...。
彼はいつも自分を責めるような人です。
そもそも裁縫のみという話だったのに、人手不足で元々の予定になかったことをしていただくことになったのがいけないんです。
あなたにはあなたにしかできないことがあります。...正直、俺よりもずっと裁縫の技術に長けている。
俺は手縫いであそこまで細かく縫うことはできません。
...気分を変えましょう。俺にあなたをコーディネートさせてください。
傷痕はできるだけ隠したいんですよね？それなら、こちらのズボンはいかがでしょう？
...うん、やっぱり似合ってます。
それからこのTシャツに、こっちのパーカーをあわせて...はい、できました。
ただの部屋着ですが、あなたが笑ってくれてよかったです。
とても似合っていますよ。ああ、脱がなくても大丈夫です。
それはあなたにあげます。実は、まだ販売するか決めかねていたものの中から見繕ったものなんです。
だからどうか、気にせず着ていただけると助かります。
...洋服が喜んでいますから。
眠くないなら、もう少しだけ話をしましょう。
そこに座って待っていてください。

お待たせしました。...このコースターはあなたが作ったものですか？
ありがとうございます。とても助かりました。
それにしても、あなたはとても美しい心を持っていますね。
無自覚ですか？...可愛らしいですね。
この紅茶を飲んで、少しだけ待っていてください。
どうしてもはずせない仕事がありますから...。
もし眠れそうなら、睡眠はきちんととってくださいね。

...ああ、やっぱりきた。
ごめん、今日は彼女の目が危うい光を持っていたから離れたくなかった。
...1回飛び降りようとしたときの君くらいに絶望しきった表情なんだ。
でも、俺じゃあ慰められないのかもしれない。
それはさておき、これが頼まれていたもの。
これで大丈夫？...もし足りないようなら仕入れておくよ。
それじゃあ、また今度。
え、何？...まさかありがとうなんて言われるとは思ってなかった。
まあ頑張ってみるよ。

...やっぱりまだ寝てなかったんですね。
洋服で元気になれたならいいのですが、もうそろそろ休んだ方がいいですよ。
俺はいいんです。慣れていますから。
分かりましたから、そんなに泣きそうな顔をしないでください。
邪魔だなんて思っていませんよ。ただ、いつも独りだったのにと思っただけなのです。
俺の洋服であなた笑顔にできたなら、あなたが作った小物も今頃きっと誰かを笑顔にしているはずです。
...少なくとも、俺は元気になりましたから。
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終わりが迷子になってしまいました...。