物置小屋

１人向け・慰め系

寂しんぼキャットガール(寂しさが募っていた人)

こんばんは。
あの...大丈夫ですか？
心配しなくても、俺は君に何かするつもりはないから。
警察にも言わないし、他の誰にも話さない。
ただ...どうして君はこんな遅い時間にたった独りでこんな場所にいるの？
もしかして、お金がなくて泊まる場所がない？
...そこのアパート、空き部屋があるんだ。
今夜だけそこを借りれば、明日には嫌なことも全部忘れられるかもしれないよ？
さっきも言ったけど、俺は変なことなんかしない。
だから、もし独りなら一緒に行こう。


そうだよ、ここは俺の部屋。
嘘を吐いてごめん。女の子を自分の部屋に案内したら怖がられてしまうんじゃないかって思ったんだ。
だから、空き部屋ってことにした。
何もしないって言ったのに、騙すようなことをしちゃったね。
それで、あんな暗い場所で何を探していたの？
オルゴール...それは想い出の品なの？
分かった、それなら君はここで待ってて。
さっきまで外にいて寒かったでしょ？ここで温まってくれていいから...勝手にいなくなったりしないでね。

...ただいま。オルゴールってこれのこと？
そんなふうに傷だらけになるまで探して...大変だったでしょ？
お礼なんていいよ、当たり前のことをしただけだから。
君は猫が好きなんだね。オルゴールにも彫られているし...どうかしたの？
もしかして、寂しいって思ってた？
...ごめん。俺、人の感情に疎いんだ。
傷つけたとか悲しんでるとかは分かっても、寂しいとか恋しいとかはよく分からなくて...本当にごめん。
どうしたらその寂しさはなくなる？
...オルゴールの音？それだけでいいの？ちょっと待っててね。
ぜんまいを回して...これでどうかな？
確かに綺麗な音がするね。ちょっと待ってて。
痛っ、君が持っていくにはこうしないといけないんだ。
それに、少し熱した方がいい音が鳴るかもしれないから。...はい、どうぞ。
誰にも相手にしてもらえなかった、か。...少し意味が違うような気もするけどね。
ううん、なんでもない。ほら、そろそろそっちに行かないと。
迎えにきてもらえてよかったね。...それじゃあ、さようなら。
...いつもそうだけど、やっぱり別れにはなれないな。
あの子は家から逃げて、そのまま餓死した。
そのときの傷だってことさえ忘れているみたいだったし...自分が死んでいることにさえ気づいていないみたいだった。
オルゴールは持っていけるように燃やしたし、ちゃんと成仏できたみたいだからよかったけど...やっぱり見えすぎるのも問題なのかもしれない。
普通の人にはどんなふうに見えているんだろう...なんて、気にしても仕方ない。
...今度は彼女が幸せになれますように。
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第六感が強い人、ということで綴ってみました。
彼女は最期にようやく人のぬくもりを手に入れましたが、我ながら哀しい物語を作ってしまったなと思います。