物置小屋

黒蝶

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1人向け・看病系

伝えあいたい、この心(失声症の恋人)

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ただいま...って、その指どうしたの?
いつもより書くの時間かかるでしょ?ゆっくりでいいから、先に部屋で着替えてくるね。

...お待たせ。それで、その怪我はどうしたの?
『洗い物をしていたら手にフォークが刺さった』って、どうしてそんな状況に...。
もしかして、ご飯を作ってる途中でそうなったの?
ごめん。本当なら今日は一緒に作ろうって話だったのに...痛かったでしょ?
『お願い』って何?今、口が動いたのちゃんと見てたよ。
大丈夫だよ、書くまで待ってるから。
『絆創膏が自分では上手く貼れない』...ああ、そういうことか。
もし痛かったらビンタしてくれていいから、力ずくで止めてね。
よし、こんな感じでどうかな?
駄目だよ、笑って誤魔化そうとしても。...今ちょっと滲みたでしょ?
君は表情に出やすくて、本当に可愛い。
そういうところも好きだよ。
そんなに照れなくてもいいのに...よし、終わった。
『ありがとう』なんて言われるほどのことはしてないよ。
俺は、君が怪我しているのを放っておけなかっただけだから。
残りの洗い物は俺に任せて、君は座って待ってて。
どうしたの、そんなに服を引っ張って...『ありがとう。終わったら一緒にお茶したいな』って...よかった、思ったより元気そうで。
玄関を開けたときの君の顔、なんだか不安そうだったから何かあったのかなって思って...。
大丈夫、ちゃんと待ってるから君の気持ちを教えて。
『なかなか帰ってこないから心配だった』...ごめん、連絡した後電車に乗り遅れちゃった。
それから少しして乗ったんだけど、今度は降りる駅を間違えちゃって...そこから走って帰ったんだ。
どうしてそんなに驚いてるの?
『どうして次の電車を待たなかったの?』、か...早く君に会いたかったから。
それから、寂しい思いをさせてるんじゃないか不安だったからかな。
少しだけ待ってて、すぐ終わらせるから。

...食器洗い、君がほとんど片づけてくれてたおかげでもう終わったよ。
『お疲れ様。軽食だけ用意しておいたけど、ご飯食べてきた?』...君は本当に優しいね。
実はお昼からちゃんとした食事をしてなかったんだ。
そんな勢いよく立ち上がらなくても、これだけあれば充分だよ。
折角片づいたばかりだし、それに...ご飯よりも君のことを補給させてほしいな。
こうやってゆっくり紅茶を飲む機会なんて最近はなかったから、すごく嬉しいんだ。
...ん?どうしたの?
『本当は疲れているんじゃない...?』...ありがたいけど、俺のことより自分のことを労ってほしいな。
怪我、結構痛むんでしょ?カップが持てないくらいとなると、なかなか辛いよね。
...だから、こっちのお菓子は俺が食べさせてあげる。
これだったら、片手しか使えなくても平気でしょ?
それに、君の近くにいられるから俺にとってもいいことだしね。
あ、また照れてる。...君の気持ちが沢山伝わってくる分、俺の心も君に伝えられるといいな。
ううん、なんでもない。ほら、口開けて。
一緒に食べれば、どんなものでもきっといつもより美味しくなるから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メモ帳のストックがなくなりそうだな...と思った瞬間になんとなく思いつきました。
因みに先日洗い物をしていて本当にフォークが指に刺さりました。
それほど深くありませんでしたが出血しました。
今も絆創膏を貼っています。
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