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1人向け・慰め系
明日が怖くなったなら-泣けないver.-(学校始まりの夜)
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...もしもし?こんな時間に電話してごめん。
だけど、どうしても心配で...もしかして。
ううん、なんでもない。電話は切らないでおくから、そのまま話したいことを話してて。
泣いている君を独りにしたくないんだ。
これから君の家に行くから、何があったのか直接聞かせて?
嫌じゃなければだけど...分かった、すぐ行くから。
...つ、ついた。ねえ、開けてくれる?
ありがとう。お邪魔します。
飲み物だけ買ってきちゃったけど、よかったら飲む?
温かいから、きっと少し落ちつくよ。
...そんなふうに涙を止めなくてもいいんだ。
ここには僕と君しかいない。だから、僕のことをもっと困らせて。
ごめん、夜に女の子が1人で暮らしている家にあがらせてもらうのはどうなんだろうと思ったんだけど...ちゃんと顔を合わせて話がしたかったんだ。
今日は始業式だったでしょ?...何かあったの?
そっか、担任の先生が保健室に乗りこんで...大変だったね。
怒鳴られたの?話も聞かずにっていうのが相変わらずだな...。
それで、今日はどうやって過ごしたの?よかった...保健室の先生、今日はいたんだね。
でも、明日からどうやって過ごそうか怖くなった...違う?
君のことだから、保健室の先生に迷惑をかけたくないとか、無理矢理教室に行かさせられたらどうしようとか、沢山考えているんじゃないかって思うんだ。
特例校則として決まっているから、保健室にちゃんと登校した分で出席日数の貯金は貯まっているはず。
それに、テストはいつも受けていて...高得点の教科もある。
君が明日を望まないなら、別の明日を楽しむのはどうかな?
勿論、無理矢理連れ出そうとは思っていないし、僕たちの関係はまだまだ隠しておいた方がいいんだろうけど...明日も学校に行くのが得策とは思えない。
死ぬほど辛いことをずっと耐えてきたのに、君はまた1人で頑張ろうとしている。
だったら、そのご褒美があってもいいんじゃないかって思うんだ。
課外授業、みたいな...どこか遠くへ出掛けよう。
明日だけ休んで、それからまた考える。そういうのはどうかな...?
こんなの、まともな考えじゃないのかもしれない。
だけど僕は、楽しみがあっていいと思うんだ。...僕もそうしてきたから。
前に話したでしょ?学生時代に嫌がらせに耐えられなくて、通信制に転入したって。
だから、全部は無理でも明日がこなければいいのにって...全部なくなればいいのにって思うのは分かるんだ。
今日もよく頑張りました。
好きなだけ泣いて、苦しいことも辛いことも沢山吐き出してね。
さっきよりすっきりした顔してる...ちょっとだけ安心した。
明日どうするかは君が決めていい。
学校に行くなら送るし...遠い町に行ってみたいなら、電車に乗って出掛けよう。
...約束だよ。今夜は君が眠ってから帰ることにする。
だから、申し訳ないけど鍵は閉めてポストに入れておくね。
疲れちゃったでしょ?...ゆっくり休んでね。
さて、彼女は...いた。おはよう。どうするか決めたみたいだね。
学校には連絡した?よし、早速ふたりで出掛けようか。
これから行く場所は、君が好きな小説の舞台になった町だよ。
え、どうして謝るの?昨日は説明してなかったけど、今日は講義がなくなって休みなんだ。
単位は取り終わったし、あとは卒業を待つのみだから。
それから、そのお守りを大切に持っててくれてありがとう。
僕は不器用だから、あんまり上手く作れなかったのに...大事にしてくれているのを見ると嬉しくなる。
今日だけは、僕たちのことを誰も知らない町に行ってみよう。
そうすればきっと、恋人らしくしたって誰にも文句なんて言えないだろうから。
君が行きたい場所はある?沢山時間があるから、ゆっくり考えて。
ん?ああ、ごめん。もう少しで駐車場を通りすぎるところだった...。
今考えていたこと?...笑わないでね。
やっぱり僕、君がこうして側にいてくれる時間が1番幸せだなって...そう思ったんだ。
えっと、そ、そろそろ電車の時間だし、僕の手をとってくれますか?
それじゃあ、短めのふたり旅に出発だ。
楽しい思い出を沢山作ろうね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶりに綴ってみました。
『泣けないver.』の彼は、12月の終業式で大学へと戻っていきました。
これはそれからの話ということになりますが、相変わらず彼等が学校に来る前から恋人同士だったということは周囲に隠したままです(『泣かないver.』のカップルは知っています)。
近々小説版でも仕上げる予定ですが、まだ区切りのつけ方に迷っています。
...夜の暗闇さえも抜けて、安心できる場所に行くことがいけないことだとは私には思えないのです。
だけど、どうしても心配で...もしかして。
ううん、なんでもない。電話は切らないでおくから、そのまま話したいことを話してて。
泣いている君を独りにしたくないんだ。
これから君の家に行くから、何があったのか直接聞かせて?
嫌じゃなければだけど...分かった、すぐ行くから。
...つ、ついた。ねえ、開けてくれる?
ありがとう。お邪魔します。
飲み物だけ買ってきちゃったけど、よかったら飲む?
温かいから、きっと少し落ちつくよ。
...そんなふうに涙を止めなくてもいいんだ。
ここには僕と君しかいない。だから、僕のことをもっと困らせて。
ごめん、夜に女の子が1人で暮らしている家にあがらせてもらうのはどうなんだろうと思ったんだけど...ちゃんと顔を合わせて話がしたかったんだ。
今日は始業式だったでしょ?...何かあったの?
そっか、担任の先生が保健室に乗りこんで...大変だったね。
怒鳴られたの?話も聞かずにっていうのが相変わらずだな...。
それで、今日はどうやって過ごしたの?よかった...保健室の先生、今日はいたんだね。
でも、明日からどうやって過ごそうか怖くなった...違う?
君のことだから、保健室の先生に迷惑をかけたくないとか、無理矢理教室に行かさせられたらどうしようとか、沢山考えているんじゃないかって思うんだ。
特例校則として決まっているから、保健室にちゃんと登校した分で出席日数の貯金は貯まっているはず。
それに、テストはいつも受けていて...高得点の教科もある。
君が明日を望まないなら、別の明日を楽しむのはどうかな?
勿論、無理矢理連れ出そうとは思っていないし、僕たちの関係はまだまだ隠しておいた方がいいんだろうけど...明日も学校に行くのが得策とは思えない。
死ぬほど辛いことをずっと耐えてきたのに、君はまた1人で頑張ろうとしている。
だったら、そのご褒美があってもいいんじゃないかって思うんだ。
課外授業、みたいな...どこか遠くへ出掛けよう。
明日だけ休んで、それからまた考える。そういうのはどうかな...?
こんなの、まともな考えじゃないのかもしれない。
だけど僕は、楽しみがあっていいと思うんだ。...僕もそうしてきたから。
前に話したでしょ?学生時代に嫌がらせに耐えられなくて、通信制に転入したって。
だから、全部は無理でも明日がこなければいいのにって...全部なくなればいいのにって思うのは分かるんだ。
今日もよく頑張りました。
好きなだけ泣いて、苦しいことも辛いことも沢山吐き出してね。
さっきよりすっきりした顔してる...ちょっとだけ安心した。
明日どうするかは君が決めていい。
学校に行くなら送るし...遠い町に行ってみたいなら、電車に乗って出掛けよう。
...約束だよ。今夜は君が眠ってから帰ることにする。
だから、申し訳ないけど鍵は閉めてポストに入れておくね。
疲れちゃったでしょ?...ゆっくり休んでね。
さて、彼女は...いた。おはよう。どうするか決めたみたいだね。
学校には連絡した?よし、早速ふたりで出掛けようか。
これから行く場所は、君が好きな小説の舞台になった町だよ。
え、どうして謝るの?昨日は説明してなかったけど、今日は講義がなくなって休みなんだ。
単位は取り終わったし、あとは卒業を待つのみだから。
それから、そのお守りを大切に持っててくれてありがとう。
僕は不器用だから、あんまり上手く作れなかったのに...大事にしてくれているのを見ると嬉しくなる。
今日だけは、僕たちのことを誰も知らない町に行ってみよう。
そうすればきっと、恋人らしくしたって誰にも文句なんて言えないだろうから。
君が行きたい場所はある?沢山時間があるから、ゆっくり考えて。
ん?ああ、ごめん。もう少しで駐車場を通りすぎるところだった...。
今考えていたこと?...笑わないでね。
やっぱり僕、君がこうして側にいてくれる時間が1番幸せだなって...そう思ったんだ。
えっと、そ、そろそろ電車の時間だし、僕の手をとってくれますか?
それじゃあ、短めのふたり旅に出発だ。
楽しい思い出を沢山作ろうね。
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久しぶりに綴ってみました。
『泣けないver.』の彼は、12月の終業式で大学へと戻っていきました。
これはそれからの話ということになりますが、相変わらず彼等が学校に来る前から恋人同士だったということは周囲に隠したままです(『泣かないver.』のカップルは知っています)。
近々小説版でも仕上げる予定ですが、まだ区切りのつけ方に迷っています。
...夜の暗闇さえも抜けて、安心できる場所に行くことがいけないことだとは私には思えないのです。
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