物置小屋

黒蝶

文字の大きさ
上 下
184 / 1,797
1人向け・慰め系

ユア・ペース~クラシオンへようこそ-スローペースなお客様篇-~(タイトル長めです)

しおりを挟む
あの...こんばんは。こんな遅くに1人でいるのは危険だ。
早く家に帰って...帰る場所、ないの?
まあ、こんな森の奥までくるってことはそうだよな...。
怪我してるみたいだし、俺の店にどうぞ。
君ならきっと、入店資格があるはずだから。
俺の店は、傷ついた心の持ち主しか入れないんだ。
...立てる?すぐそこだから一緒に行こう。


それでは、そちらの席でしばらくお待ちください。
何って、救急箱を持ってこないと手当てできないだろう?
そのままお待ちください。
...結構酷いけど、この傷はどうしたの?
転んだ傷というのは、こんなふうにはならないよ。
...誰にやられたのか、君が話せる範囲で教えてもらえないかな?
俺には言いつける相手もいないし、何か思いを溜めこんでいるなら吐き出してほしい。
手当ては終わり。あとは温かい飲み物をご用意させていただきます。

お待たせしました。...あれ、カフェラテって見たことない?
今夜は簡単なものしか作れなかったけど、いつもはもう少し凝ったものもできる。
ただ、今は君の話の聞くのが最優先だろうと思ったんだ。
誰かに聞いてほしいけど、どこから話したらいいのか分からないって顔をしているから。
順番がバラバラになってもいいから、君の気持ちを話してくれればいい。
...成程、嫌がらせに家庭内暴力か。
それにしても、いつも100点じゃないといけないなんて無茶を言う人間もいるんだね。
嫌がらせの理由は人を庇ったから、か。
遅れてるってどういうこと?
勉強や運動能力...かなり深刻に考えているんだね。
これはあくまで俺の持論だけど、色々な道があっていいと思うんだ。
どのくらいの早さで物事を片づけられるかなんて人それぞれだし、勉強も運動も、一生懸命取り組めるかどうかが大切なんじゃないかな。
君の周りも君自身でさえも気づいてないみたいだからはっきり言うけど、君はちゃんと頑張ってるよ。
でも、何事にも一生懸命取り組みすぎて壊れかけているように見える。
もっとなんてきっとない。...だって今の君は、すごく頑張っているから。
...自分に自信が持てなくて、学校にも家にも居場所がないから辛くなったんだよね?
時々いるんだ。...この時間にやってきて自ら命を絶とうという人間。
さっき声をかけたのは、それが分かったからというのもある。
でも、折角ここまでいらっしゃったのにお客様に何も召し上がっていただけないというのも俺の中にはあるんだ。
頑張れとか、死ぬ気になれば何でもできるとか...そんな軽い言葉を言いたくない。
頑張って疲れているから追い詰められているのに、そんな人に向かって簡単に言っていいものではないと俺は思っているんだ。
もし、朝になってもどうしても辛くて学校にも行きたくないなら、ここにいていい。
...さっきも言ったように、ここは傷ついたお客様の為の店だから。
全てに絶望するくらいなら、無理矢理行かずにここで勉強していけばいい。
俺にも教えられる教科はあるから、分からないところがあったら言って。
他にお客様がいなかったらすぐに教えるから。
取り敢えず色々とやることがありますので、ごゆっくりどうぞ。
...これで涙をふいて。大丈夫だから。

部屋の用意ができましたので、今夜はそちらでお休みください。
まだもやもやしているみたいだから、もう少し話をしようか。
これも俺の持論だけど...君は君のペースで必死にやってる。
それが周りの人より遅くてもいいんだよ。
人それぞれ、ペースが違うのは当たり前なんだから。
それに...人生は1度しかないんだ、君が生きたいように生きていいんだよ。
それを他の誰が否定しようが、俺はこの店と一緒に君の味方でいるから。
それでは、本日はゆっくりお休みください。

...よかった、あの感じだともう死のうとは思ってなさそうだ。
もし帰りたがらなかったら約束を果たさないと。
もっと笑顔が増えるといいな...。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
嫌なことがあっても独りで立ち向かうしかない、それなら私はやっぱりこういった場所があればいいなと思います。
人の数だけ道があるというなら、その沢山の道を完璧でなくても理解する努力はしたい、それをもっと認めあえる世界になれば...そう思います。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

ピアノ教室~先輩の家のお尻たたき~

鞭尻
大衆娯楽
「お尻をたたかれたい」と想い続けてきた理沙。 ある日、憧れの先輩の家が家でお尻をたたかれていること、さらに先輩の家で開かれているピアノ教室では「お尻たたきのお仕置き」があることを知る。 早速、ピアノ教室に通い始めた理沙は、先輩の母親から念願のお尻たたきを受けたり同じくお尻をたたかれている先輩とお尻たたきの話をしたりと「お尻たたきのある日常」を満喫するようになって……

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜合体編〜♡

x頭金x
恋愛
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

処理中です...