物置小屋

１人向け・慰め系

超激甘毒林檎(暗めです)

こんばんは。どうして下ばかり見ているの？
飛び降りる？...この高さなら助からないだろうね。
もしかすると、今みたいな真っ暗な夜なら事故にしか見えないかもしれない。
それが君の望み？本当に後悔しない？
止めないよ。そうされたくないって...もう覚悟を決めている顔をしているから。
君がよければだけど、冷たい水に体を溶かしてしまう前に俺と話をしない？
...俺もここに君と同じことをしにきたから、せめて藻屑と消えてしまう前に話がしたいんだ。
理由なんて知ってどうするの？...いいよ、俺の話をしてあげる。
俺には護りたい人がいたんだ。
その人は大切な友人だったのに、結局駄目だった。
必死にもがいて足掻いて、最後は...。
もういい？そっか、暗い気持ちになるもんね。
違う？...ああ、俺が泣いてたからか。
君は俺と違って優しそうなのに、どうして人魚姫のような最期にしようと思ったの？何もかもうまくいかない、か...。
どうしてこの世界は、頑張った人や努力した人じゃなくて、はじめから容姿なり才能なりを持っている人しか輝けないんだろうね。
俺もそういうものを持ってないから、気持ちはなんとなく分かる。
きっと君は独りで頑張ってきたんだろうね。
...大丈夫？持病持ち？頭痛ってなかなか大変だよね。
無理して話さなくていいから、ひとまずここに座ろうか。
それ...俺も同じ薬を飲んでる。嘘じゃないよ、ほら。
すぐ体調を崩すからいつも持ち歩いてるんだ。
大丈夫、体調がよくなるまで側にいる。
何かほしいものがあるなら遠慮なく言ってね。

...もう落ち着いた？そうか、それじゃあ、せーので飛ぼうか。
言ったでしょ、俺もここに君と同じことをする為にきたんだって。
どうして泣いているの？
独りじゃないから...そうだね、たしかに独りじゃない。
俺も君も、最期の瞬間になってようやく巡り会ったわけだ。
それなら...この偶然を祝して、俺たちはここで消えたことにしようか。
身分証明できるもの、持ってるんでしょ？
それも分かるよ、俺もだから。
今までの俺たちはここで消える。
それで...一緒にもっといい場所を探しに行かない？
俺にはもう探してくれるような知り合いはいないけど、君はどう？
...まあ、いたらそんな酷い痣なんかできてるはずがないか。
それ、親から？それとも嫌がらせ？待って、当ててみる。
...その古いのは親からでしょ？それで、新しい方は年上の人間から。...違う？
推理したんじゃないよ、ただの勘だ。
それで、どうしたい？
覚悟が決まっているならそのまま沫になって消えてしまうのも選択の1つだと思う。
でももし、今の自分を消して生きてみたいと思うなら...どこかいい場所が見つかるまで、一緒にいるよ。
それで、見つかったときは一緒に消える。
よし、それじゃあ書いてきたものと身分証明できるものを置いて...。
俺バイクできてるから後ろ乗って。はい、ヘルメット。
色々な障害があるとは思うけど、ふたりなら大丈夫。
さあ、行こう。...これがさいごの旅だ。
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見たものに感化されたせいか暗いです、ごめんなさい...。
こんなふうな逃避行もありなのかもしれない、なんて思ってしまいます。
本当はこのあと、心中するルートと彼と彼女の関係性ルートに分岐したりもします。
...その小説は、時間があるときにでもFANBOXの方にあげようと思います。
一方のルートはどなたでも見られるように設定しておきますので、興味がある方は覗いていただけると嬉しいです。