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物語の欠片
タイトル未定・第7話『心強い味方』
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日曜日の夕方、私はある人物に呼び出された。
「鈴奈さん」
「真幸刑事...何かご用ですか?」
私は持ってくるように言われた先日のボールペンを少し警戒しながら差し出す。
彼は苦笑しながらそれを受け取り、2回ノックした。
そうして出てきたのは芯ではなく、ふたつの黒い穴。
「しまった、イヤホン1個しか持ってきてなかった...。よかったら一緒に聴かない?」
「...はい」
大人となんて嫌だという思いがなかった訳ではない。
ただ、どんな音がするのか気になった。
そうして耳に流れこんできたのは、なんとも不愉快な会話。
それはとても聞き覚えがあるもので、気分が悪くなってくる。
そう、それは昨日の店長と私の会話だった。
(お守りってそういうことか)
「大丈夫?顔色悪いけど、やっぱり聞かない方がよかったんじゃ...」
「いえ、大丈夫です。...これくらい慣れておかないとこれから調べていくのに苦労しますから」
そうだ、これからが本番なのだ。
どうして花代が殺されなければならなかったのか、或いは自ら死を選択をしたのか...真相を探れるのは私しかいないのだから。
「鈴奈さん、僕が信じられないならそれでもいい。でも...」
突然手を握られ、ただただ驚いてしまう。
「困ったときはもっと周りに頼っていいんだよ。少なくとも僕は君の敵じゃない」
「真幸刑事...」
大人にそんなふうに言われるのは初めてだ。
いつだって知らないふりをして、自分のせいじゃないって顔をして...私の周りにはそんな大人ばかりだった。
それがここ数日で変わろうとしている。
真幸刑事の言葉には嘘がない。
何故この人はこんなにも真っ直ぐなのだろうか。
「...真幸刑事」
「どうしたの?」
「ありがとうございます」
「僕はお礼を言われるようなことは何もしてないよ」
この人になら相談してみてもいいのかもしれない。
「本当は、すごく疲れているんです。たった1人の友人がいなくなって、まだ受け止めきれていません」
「分かるよ。...僕も経験があるから」
それは一体、どんな経験だったのだろうか。
「まあ、事故なんだけどね。...ただ、犯人は捕まらずに時効になった」
「...!」
「僕はそういう事件を減らしたくて警察官になったんだ。...だから今回の件も、しっかりと真相を導き出してみせるよ」
やはりこの人にはこの人の正義がある。
それなら、話してみてもいいだろうか。
──私が今直面している問題についての話をしてしまいたかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ますます強くなる殺人の線、ということにしました。
花代の死の真相も大切ですが、鈴奈だって救われてほしい...私はそう思っています。
「鈴奈さん」
「真幸刑事...何かご用ですか?」
私は持ってくるように言われた先日のボールペンを少し警戒しながら差し出す。
彼は苦笑しながらそれを受け取り、2回ノックした。
そうして出てきたのは芯ではなく、ふたつの黒い穴。
「しまった、イヤホン1個しか持ってきてなかった...。よかったら一緒に聴かない?」
「...はい」
大人となんて嫌だという思いがなかった訳ではない。
ただ、どんな音がするのか気になった。
そうして耳に流れこんできたのは、なんとも不愉快な会話。
それはとても聞き覚えがあるもので、気分が悪くなってくる。
そう、それは昨日の店長と私の会話だった。
(お守りってそういうことか)
「大丈夫?顔色悪いけど、やっぱり聞かない方がよかったんじゃ...」
「いえ、大丈夫です。...これくらい慣れておかないとこれから調べていくのに苦労しますから」
そうだ、これからが本番なのだ。
どうして花代が殺されなければならなかったのか、或いは自ら死を選択をしたのか...真相を探れるのは私しかいないのだから。
「鈴奈さん、僕が信じられないならそれでもいい。でも...」
突然手を握られ、ただただ驚いてしまう。
「困ったときはもっと周りに頼っていいんだよ。少なくとも僕は君の敵じゃない」
「真幸刑事...」
大人にそんなふうに言われるのは初めてだ。
いつだって知らないふりをして、自分のせいじゃないって顔をして...私の周りにはそんな大人ばかりだった。
それがここ数日で変わろうとしている。
真幸刑事の言葉には嘘がない。
何故この人はこんなにも真っ直ぐなのだろうか。
「...真幸刑事」
「どうしたの?」
「ありがとうございます」
「僕はお礼を言われるようなことは何もしてないよ」
この人になら相談してみてもいいのかもしれない。
「本当は、すごく疲れているんです。たった1人の友人がいなくなって、まだ受け止めきれていません」
「分かるよ。...僕も経験があるから」
それは一体、どんな経験だったのだろうか。
「まあ、事故なんだけどね。...ただ、犯人は捕まらずに時効になった」
「...!」
「僕はそういう事件を減らしたくて警察官になったんだ。...だから今回の件も、しっかりと真相を導き出してみせるよ」
やはりこの人にはこの人の正義がある。
それなら、話してみてもいいだろうか。
──私が今直面している問題についての話をしてしまいたかった。
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ますます強くなる殺人の線、ということにしました。
花代の死の真相も大切ですが、鈴奈だって救われてほしい...私はそう思っています。
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