物置小屋

１人向け・看病系

天使な悪魔と初めての看病(シリーズものです)

おはよう。また花の世話をしていたの？
...君は真面目な子だね。
1日くらい休んでもいいのに。
それくらいじゃあきっと枯れないよ。
心配性なんだね。
僕のことまで心配してくれているの？
今日は仕事が休みだから、ゆっくり休めるよ。
それにしても、出勤時間なんてよく覚えてたね。
僕は叩いたりしないからそんなに身構えないでほしい。
それから...花より自分の傷の心配をした方がいいよ。部屋に戻ろう。

ほら、腕見せて。相変わらず痛そうだね。
ちょっと滲みるよ。...痛む？
ごめん、すぐ終わらせるから...はい、終わり。
今日は君がやりたいことにつきあうよ。
...大丈夫？なんだか顔色が悪いみたいだけど...ちょっと額を触らせてね。
熱っぽい。無理しないで休んだ方がいいよ。
僕が天使だったら治療もできたんだろうけど...悪魔にはそれができない。
人間の看病の仕方なんて分からないから、全部本頼りになるんだけど...いいから寝てて。
大丈夫って、どこが？
いいから早く横になって。
君の両親は休ませてくれなかったんだろうけど、僕は違う。
具合が悪い人を無理矢理動かしてはいけないくらいは分かる。
料理も今日は僕がやるし、心配しないで。
君が食べられそうなものを頑張って作ってみるから。

...ひと苦労だな。彼女はこんなに面倒なことを、毎日文句ひとつ言わずにやっていたのか。
どうしてそんな子を、あんな酷い目に遇わせられたんだろう。
人間ってやっぱり愚かだな。
2ヶ月たって行方不明届すら出さないなんて、本当に笑える。
...あの子みたいないい人間ばかりだったらよかったのに。
って、なにらしくないことを考えているんだ。
それよりも手を動かさないと。

...入るよ。一応作ってみたけど、自信はない。
野菜ごろごろスープ。僕がまともに作れる数少ない料理のうちのひとつ。
食べられそう？...残しても怒らないから、食べられるだけ食べて。
...スプーンを持つ力がないならそう言ってくれればいいのに。
ほら、口開けて。...熱くなかった？美味しいなんて言われたの、初めてかもしれない。
それから、薬なら一応あるから飲むこと。
嫌がっても駄目だよ。...ちゃんと飲んでもらうから。
え、これそんなに苦かった？...そうか、苦いのが得意じゃないんだったね。
それじゃあ、君に無理をさせない範囲でできることをする。
何かしてほしいことがあるなら教えて。
僕にできることなんて限られているけど、なんでもやってあげる。
...そんなことでいいの？じゃあ、手を握るよ。
熱いね...こんなに体調を崩すくらい無理をさせていたなんて知らなかった。
それに、君が呼び出したとはいえ、僕のことをこんなに怖がらない人間なんて初めてだったから戸惑ってる。
変な態度をとることも多いけど、君が嫌いな訳じゃないから。
...って、寝てるし。まあ、いいや。
大人しく寝て、早く治してね。
君が笑顔じゃないと、なんだか落ち着かないから。
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天使な悪魔シリーズです。
死神さんの場合もそうでしたが、人間ではないものでこういった話を綴るのは楽しいです。