物置小屋

黒蝶

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物語の欠片

タイトル未定・第6話『第2の容疑者』

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「鈴奈ちゃん、どうしたの?」
「...店長、お話があります」
花代がこの男に付きまとわれていたかもしれない...それだけで、気分が悪くなる。
「それは、花代ちゃんのことかな?」
「...はい」
「バイトが終わってからにしようか」
「分かりました」
なんだかそわそわしていて、聞かれてはまずいことがあるのは確かだ。
『気さくな人』...ここの店員さんたちはそう言うが、私はそうは思わない。
「いらっしゃいませ」
「珈琲をもらえますか?」
「かしこまりました」
「それから、ペンを落としていましたよ」
はじめは分かっていなかった。
だが、声を聞いているうちに理解する。
『お守りになるから持ってて』
机の上のメモにはそう綴られていた。
(真幸刑事...)
やはりこの人は、他の大人とは違う。
こんな風に心配されることなんてなかった。
私の側には花代しかいない...今だって、心の中にはずっと彼女の笑顔が浮かぶ。
『ありがとうございます。バイト終わりに店長と接触するので後で報告します』
「...お客様、こちらの道をそのまま進めば目的地に辿り着けます」
「ああ、ありがとう」
地図を書いたふりをして、何事もなかったかのように珈琲を運ぶ。
それからめまぐるしく動き回って、気づいたときには終業時間を迎えていた。
「それで、何を話したかったのかな?」
「花代のこと、何かご存じありませんか?なんでもいいんです。親友が何故死んだのか手がかりがほしくて...」
目にはいっぱいの涙を浮かべてそう懇願すると、店長はにやりと笑った。
「私も驚いたよ、まさかあんなにいい子が自殺だなんて...。そんなことを考えているなんて、私も気づけなかった」
「...」
「辛いなら私が支えるから、いつでもきなさい。今日は遅いからもう帰った方がいいだろうけど...」
そう言って、肩を掴まれそうになる。
穢れた手で触るな!...とは言えないので、おもいきり払い除けた。
「今日はこれで失礼します」
収穫はあった。
以前からセクハラ行為で何人も辞めているし、先程の言葉で確定だ。
(ああ、駄目だ...)
苦しい。息が詰まりそう...。
だんだん苦しさが増してきて、部屋に辿り着いてすぐにベッドに飛びこんだ。
「花代...」
犯人を必ず追い詰めてみせる。
──何に代えても。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鈴奈の覚悟に、真幸刑事の協力...そして浮上する容疑者。
果たして犯人は誰なのか。
久しぶりに書きました。
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