物置小屋

１人向け・イベント系

葉月の終わり、彩づく金木犀。(夏の終わりが少し寂しい恋人)

おはようございます。今日は出掛けようという話をしていたんでしたね。
デート先は、あなたが行きたい場所にしましょう。
僕が行きたい場所ですか？...あなたといられれば、どこでもいいんです。
強いて言うなら、そろそろ咲く花というものがあるのでそれを見に行きたいなと...。
だけど、あなたがやりたいことを一緒にできる方が幸せだから...あなたがやりたいことを教えて？
遊園地、ですか。分かりました、それじゃあ行きましょう。


バスがだいぶ混んでましたね...。大丈夫でしたか？
基本的に人が密集している場所は苦手ですよね？
...やっぱりふらふらだ。ひとまずあそこのベンチに座って休みましょう。
そんなに謝らなくても大丈夫だから。
怒ってないし、できるだけゆっくり休んで？
俺、何か飲み物を買ってきますね。
側にいてほしいって...飲み物を買ったらずっと隣にいます。
だから、少しの間だけ待っててもらえませんか？
ありがとうございます。...すぐ戻るから。

...それにしても驚いたな。
まさか遊園地にきたいなんて言うとは思ってなかった。
何か理由があるのかな...。

すみません、お待たせしました。
いつものでよかった？それならいいけど...。
顔色が悪いように見えますが、遊園地はやめておいた方が...待って、どこまで行くつもりなんですか？

だから言ったのに...。
メリーゴーランドに乗っただけで体調を崩してたじゃないですか。
...もしかして、何か理由があるの？
あるけど恥ずかしいから言いたくない、か...分かりました、それなら無理には聞きません。
その代わり、今度は俺が行きたい場所につきあって？
もう1ヶ所乗りたい？...ああ、観覧車ですか。
分かりました、そうしましょう。
歩けますか？無理そうなので...しっかり掴まって。
大丈夫、このまま行きましょう。
そんなに恥ずかしがらなくても、俺があなたの顔を隠しておくから。
そういう問題じゃないって...ふらふらの人を歩かせるよりずっといい。
もう少しでつきますよ。


はい、着きました。どうしてここなのか、と聞かれても...きたかったからとしか答えようがありません。
あとは...休みが終わってしまうのが寂しかったからというのもあります。
その前に何かひとつ、思い出を作っておきたかったっていうのも...あなたも？
だから、苦手な人が集まる場所に行きたいなんて言って、無理に入った？あなたらしいですね。
もう休みも終わり...そう思うと寂しくなるけど、この花を見ているとそういう思いが少しなくなる気がする。
金木犀は秋の訪れを教えてくれる花、といわれているんです。
あなたと過ごせる時間が少なくなるのは寂しいですが、こうしてあなたと綺麗な花に囲まれて新しい思い出を作っていけるという意味でなら、悪くないって思います。
あなたはどうですか？やっぱり秋になるのは嫌？
休みが終わるのは寂しいけど、そう言われてみれば悪くないって思えてきた...それはよかった。
数日前から顔が曇っていたので、笑顔が見られて安心しました。
この花、ちょっとだけあなたに似ているような気がするんです。
いい匂いがするところとか、謙虚なところとか。
あとは...俺もあなたも、これが初恋だったってこととか。
どきどきした？...俺も。
たとえ季節が何度変わっても、あなたを愛しています。
...なんて、らしくなかった？
そういう照れた反応も可愛い。
それじゃあ帰りましょうか。今日は最後の休みだし、一緒に過ごそう？
もう歩けそうですね...。それじゃあ、手を繋いで行こう。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
金木犀の花言葉は、『謙虚』『初恋』『真実の愛』。
このふたりにはぴったりかな、と思います。
最後に思い出を作りたい、けれど少し秋に対して前向きな話を綴ってみたかったのです。