物置小屋

１人向け・慰め系

泣けない、泣かない。-泣けないver.-(周りには秘密にしなければならない関係)

ああ、こんにちは。久しぶりだね。
どうかした？なんだか元気ないね...。
あ、さては課題が終わってないとか？違うのか...。
それじゃあ、何か心配事？...話、僕でよければ聞こうか？
そんなに泣きそうな顔をしてる生徒を放っておけるほど、先生は冷たくないんだ。
そこの公園とかどうかな？よし、じゃあ取り敢えず座ろうか。

...はい、飲み物。他の生徒には秘密ね。
それで、何か不安なことがあるの？
話してくれないなら単刀直入に聞くね。
...学校、嫌い？その反応...当たりか。
なんとなくそんな気はしてたんだ。友だちの話なんて聞いたことないし、どうして学校の話題を避けるのかなって思って...。
それに、何度か校舎の中で嫌がらせされてるのを見たんだ。
ロッカーを掃除したの？...そう、僕だよ。破られたノートを直したのも、無くなったって言ってた教科書を見つけてロッカーに入れたのも。
...勝手にやってごめん。
ねえ、先生には相談しないの？もしかして、無駄だと思ってるとか？
そうだよね、事情がなかったらもうとっくに先生に助けを求めてるよね...。
...僕はもうすぐ実習期間が終わる。
その前になんとかしたいって思うけど...先生を信用できない理由があるの？
...それじゃあ、僕のことは？恋人の僕のことなら、信じてくれる？
学校では他の人と同じように振る舞ってるけど、本当は君を抱きしめたかった。
独りじゃないよって、辛かったねって伝えたかった。
それなのに、夏休みの間も学校にバレないようにってほとんど連絡とらなくて...本当にごめん。
恋人失格だよね。僕も君と同級生ならよかった。
そうすれば一緒にいられたのに...。
そんな寂しそうな笑顔で大丈夫って言われても、全然説得力がない。
僕にだけはちゃんと話してほしい。
無理に笑わなくていい、泣くのを我慢しなくてもいいから...もっと君の気持ちを聞きたいんだ。
メールでもいいから、言葉にして教えてくれないかな？
恋人としてのお願い。
今まで気づけなくてごめん。実習期間が終わったら、毎日連絡するよ。
それで足りないときは、できるだけ会いに行く。
だから...だから、死ぬのだけはやめて...？
この前校内を掃除してたとき、君が書いてたものを見つけた。
『もう疲れました。ごめんなさい』って書いてたよね？
...それだけは全力で止める。
君が辛いのは7月の終わりの時点で分かってるつもりだけど、死ぬのだけは絶対に嫌だよ！
僕にとって、君と過ごせる時間はすごく大事なもので...君はどんなものより大切なんだ。
学校に行きたくないなら行かなくていい。保健室登校でもいい。
勉強なら僕が教えるし、最低限の授業だけ受けていれば大丈夫だよ。
高卒認定を受けたり、僕みたいに通信制高校に行ったり...手段はいくらでもある。
だから...だから、生きることを中退するのをやめてほしいんだ。
...っ、ごめん、熱くなりすぎた。
え、本当に死ぬのはやめてくれるの？よかった...。
僕は明日も保健室にいるから、始業式が辛かったらおいで。
他に誰もこないから、その間に何か話をしよう。...約束ね。
それじゃあ、また明日。


彼女は...いた。
おはよう。体調が悪そうだね...先生もこれから保健室に行くから、一緒に行こうか。
ちょっと待っててね、鍵は...開いた。
どうぞ、入って。...横になってていいからね。
約束、守ってくれてありがとう。
今日は保健の先生、午後からくるんだ。
だから、午前中はふたりきりでいられるよ。
心配しなくても、生徒に手を出すような真似はしないから。
ああ、だけどネームプレートをつけて先生になる前にひとつだけ。
...君のこと、大好きだよ。
顔、真っ赤になってる...可愛い。
さて、これから先生はここで仕事してるから、ゆっくり休んでて。他の先生には僕が連絡しておくから気にしなくていいよ。
お昼になったら起こすね。
それじゃあ、横になってるように。
...本、貸しておくから読めそうなら読んで。
いけない、先生モードが崩れちゃった。
それじゃあ、恋人として話すのはまた放課後に...。
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恋人が偶然教育実習の先生としてやってくる...1度やってみたかったんです。
綴ってみて少し楽しくなりました。
私が学生のときもこんな先生がいたら、いい青春時代を過ごせたのでしょうか。
...様々な差別にも、耐えられたでしょうか。